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July 1 個人的メモ(3) ブログ  metablog   [メモ personal notes]

July 01, 2008 (Wednesday)

 縦読みについて書いたら、4月から5月にかけて、ブログや著作権や匿名性や炎上やらについてあれこれと調べあれこれと頭を悩ませていたのを思い出しました。一時はseo対策とは炎上対策かと思った(うそです)。

 4月の末ごろになんか書きとめた記憶はあるのだが、いま探してみても見つかりません(ざんねん)。改竄している最中に消してしまったのかもしれない。

 あらためて冷静に考えて雑感をちょぼちょぼ書いてみたい。このブログは日記・雑感ですから。

 日本語のウィキペディアを見ると「ブログ」の項目の最初のところで次のように定義づけています。

ブログ (Blog) とは、狭義にはWorld Wide Web上のウェブページURLとともに覚え書きや論評などを加えログ(記録)しているウェブサイトの一種である。「WebLogする」という意味でWeblog(ウェブログ)と名付けられ、それが略されてBlog(ブログ)と呼ばれるようになった。

モーリちゃんの父はblog web + log というくらいの知識はもっていましたが、log が「記録」という意味だとは知らなんだ。log ちうたら、アメリカ文学でいえば Melville LogPoe LogStephen Crane Log log でしょうが。んがー、その話は置いといてっと。log は英和辞典で確認するとつぎのようにあります。

1. 丸太 〔笑…っちゃいかん〕以下略

2. 《海・空》航海[航空]日誌;《トラックなどの》運行[業務]日誌,運行[業務]記録;旅行日記;《ラジオ・テレビの詳細な》番組進行表;《仕立て屋・日雇い職人の》労働時間表;工程日誌;《電算》ログ《データの変更などコンピューターの使用に関するさまざまな時間推移記録》

3. 4.略  (リーダーズ英和辞典)

1. 丸太,丸木

2. 〔海事〕(船の速度を測る)測定器

3. 航海[航空,(車の)走行]記録(日誌)logbook);旅行日誌;実験記録,(機械の)運転記録;(放送局・アマチュア無線士の)送信[交信]記録.

4. 《豪》(労働組合による)給与と労働条件の改善要求.

5. 〔コンピュータ〕ログ,(メールなどの)交信記録.  (ジーニアス英和辞典)

 つまり、古い意味では日誌です。メルヴィルは海洋作家だったから航海日誌になぞらえて作家の編年体の生活記録ドキュメントということでMelville Log という名がつけられたのだと思う。が、その話は置いといてと。

 問題は、新しい意味のコンピューターのログみたいなのが最初にまつわりついていたかどうかですが、こういう新語はよくわからんですねー。ウィキペディアの記事の目次最初にある「概要」はブログの歴史と体裁について次のように書いています(でもこれは後述の英語版とは発生についての説明が微妙に違うと思う)。

ブログの始まりは、自分が気になったニュースやサイトなどのURLを、寸評つきで紹介した英語のものとされる。その後、BloggerMovable Typeなどのブログ用のツールが出現した。米英によるイラク侵略においてイラクから更新されるブログが話題となり、その知名度を大きく引き上げる結果となった。

現在、より頻繁に用いられている広義には作者の個人的な体験や日記、特定のトピックに関する必ずしもウェブに限定されない話題などのような、時系列で比較的頻繁に記録される情報についてのウェブサイト全般を含めてブログと呼称する。このようなウェブサイトの作成機能を提供するソフトウェアやサービスなどを指して呼ぶ場合もある。また、ブログの他にもSNS口コミメディアを総称してCGMと呼ぶこともある。

ウェブサイトとしての体裁は主として管理者が記事を投稿する私的ニュースサイト、あるいは日記的なものが多い。ブログを投稿する特定の方法に限定されないが、ブログ向けのソフトウェアがあり、それをレンタルやダウンロードをして使えば、HTMLを知らなくてもウェブブラウザから手軽に情報の発信・更新ができる。レンタルのものにはパソコン以外に携帯電話などモバイル通信端末のインターネット機能を用いて外出先などから手軽に更新できるものも多い。それぞれの項目にはタイトルがつけられ、時間軸やカテゴリで投稿を整理、分類する構造となっている。用途は広く、個人の日記的なものから、手軽な意見表明の場として、時事問題などについて論説するものもある。

  そのあと、「4.日本におけるブログについて」で「ブログという言葉が日本で普及する以前から、日本にはウェブサイトWeb日記個人ニュースサイト いったジャンルのサイト、およびそれに付随するコミュニティが存在した。係る背景から日本ではブログという言葉はサイトのジャンルというよりも、ブログ向 けのツールを使って作られたサイトを指すことが多い。また、ホームページビルダーなどで作成されたニュース・日記系サイトが、ブログ用ツールでの作成へと 移行するケースも多い。」てなことが書かれています。そしてWeb日記の項目を見ると、日記猿人とか日記才人とか聞いたことも見たこともないような歴史的なことが書かれて、いっぽうで「(A)『日記を作品とする場合』と(B)『日記を単なる記録としている場合』の二つに大分され……さらに(Aa)『一般的に非日常的な体験を描く日記』と(Ab)『表現技法により一般的に日常的な体験に面白さを加え、描く日記』、(Ac)『自己満足、又は初心者が試験的に表した面白みのない日記』におおよそ分かれる」みたいなわけのわからない細かい分類の試み(らしきもの)が書かれています(まあ、自分なんかはAcというよりBcの分類で個人的にはけっこうだが)。

 どうやらWeb日記の伝統があった日本ではblog がそれを言葉としては包含しつつむしろそこからはずれる部分にblogの意味を見ようとする人々のいる気配が感じられるのでした。

 でもブログという言葉は和製英語じゃなくてもともと英語だからな。「webをlogする」とかかってに言われても困るし。

 英語のWikipedia は日本語版とみあうかたちで “blog” Online diaryとふたつの項目があります。で、 “Online diary” の冒頭の短い定義は “An online diary is a personal diary or journal that is published on the world wide web on a personal website or a diary hosting website.” (オンライン・ダイアリーとは、個人のウェブサイト上もしくはダイアリーをホストするウェブサイト上にインターネットで公開される個人的日記、日誌のこと)とあります。そして “Overview” blog という言葉を入れて、次のように説明します。

Online diaries began in 1994. As a community formed, these publications came to be almost exclusively known as online journals. Today they are almost exclusively called blogs, though some differentiate by calling them personal blogs. The running updates of online diarists combined with links inspired the term 'web log' which was eventually contracted to form the word blog.

In online diaries, people write their day-to-day experiences, social commentary, complaints, poems, prose, illicit thoughts and any content that might be found in a traditional paper diary or journal. They often allow readers to contribute through comments or community posting.

 "almost exclusively" が2度繰り返されて怪しげな文章ですが、online journals = blogs ですよ。ただやっぱり英語圏でもblogが個人的なものじゃない思惑をはらんでふくらんでいるから、日記的なものは人によると "personal blogs" と読んで区別するということですよね。そのつぎの文が大事そうでよくわからないのですけど、「日記作者たちがリンクを結合させながら引き続き更新を行なうところから"web log" という言葉が触発されて生まれ、それがやがてblogという一語に縮まった」。

  一方 “blog” の項目では “an abridgment of the term web log” としか語源的な説明はなく、log が日記・日誌の意味なのか不明です。でも “Origins” のところには “The modern blog evolved from the online diary, where people would keep a running account of their personal lives. Most such writers called themselves diarists, journalists, or journalers.” と書かれていて、ウェブで日記を書いていた人たちから来ているし、そこの一節で引証されているMallory Jensen という人の Emerging Alternatives: A Brief History of Weblogsを見ても、やっぱり日記の意味合いがあったんじゃなかろうかと思われるのですが。たとえば4段落目――

Blogger.com — which was recently snatched up by Google from the owner, Pyra Labs, for an undisclosed sum — may be the biggest, but it wasn't the first. That honor goes to Andrew Smales, a programmer in Toronto who launched the first do-it-yourself blog tool — Pitas.com — in July 1999. Smales, twenty-nine, sort of blundered into blogging as he was developing software that would allow him to more easily update his personal Web site and also facilitate the "online diary community" he envisioned. Personal sites such as his aren't listed prominently on Internet search engines, and Smales thought it would be "cool if I could just click around to read what other people were saying," rather than surf blindly for their sites. As Smales worked on the software, he posted updates on his site, prompting visitors to offer suggestions. It was a comment from a visitor that clued Smales into the nascent blogging community, and he set to work on a sister project to the diary software — a blogging tool that would become Pitas. Diaryland, Smales's diary site, followed soon thereafter, and both have grown steadily since.

何が言いたいかというと、特になにがいいたいというわけでもないのですが、たとえば次のような、日本人のブログに対するヘンな期待はヘンな感じがするわけです。――「ブログ、大きな影響力」 〔2006.10.11 読売新聞・・・古いかw〕  ・・・・・・自らもブログを持つ○○・□□大学教授(社会倫理学)は「ブログが読むに値する存在になった。ある種の公共空間ができあがっているといえる」と論じる、とか、自らのブログも持つxx・△△大学教授は「いま、ブログは過渡期にある。紙媒体と両方に発言している人の働きかけがかけはしになるのではないか」と語る、とかいうインタヴューも。

  ブログが読むに値する存在になった、って、日記じゃなくなったってことっすか? モーリちゃんの父は、(期間限定だったけど) 哲学者小泉義之(desdel)の"Critical Life" には感銘を受けたし、ちょっと政治的だけど藤永茂さんの「私の闇の奥」にも頭が下がっているが、Watch Me Disappear のような私的なブログが好きだ。

あー、大学教授の稲葉振一郎というのは黒木玄や山形浩生と仲のよさそうなあのひとか・・・・・・山形浩生・・・・・・リリカ。

   「リリカさんについて思い出すこといろいろ」 〔yuco さんの長年日記 2008.5.15〕

yucoさんの文章にブログとweb日記についての記述――「archive.orgによると「私家版」(文 字コードをShift_JISにすると読める)は2003年2月開始と更新履歴にあり、はてなダイアリーは同年10月開始みたい。はてなで書き始める以前 に関心空間のブログサービス(といってもpermalinkやコメントやトラックバックはない、昔ながらのweb日記に近いようなもの)で少なくとも2003年1月から4月の間には日記を書いていて、その後はてなに移行したようだ。」

   リリカさん、2003年4月1日にアマゾンのウィッシュリスト問題について書いていたのね。――

     A★MUSE SQUARE@関心空間:リリカの日記

   Wikipediaの記事でいいなと思ったところ――

 

Personal blogs
The personal blog, an on-going diary or commentary by an individual, is the traditional, most common blog. Personal bloggers usually take pride in their blog posts, even if their blog is never read by anyone but them. Blogs often become more than a way to just communicate; they become a way to reflect on life or works of art. Blogging can have a sentimental quality. Few personal blogs rise to fame and the mainstream, but some personal blogs quickly garner an extensive following. [emphasis added]


 『ユリイカ』の「ブログ作法」(2005年4月)って持ってるのにほとんど開いてもいなかったのだけれど、そこに「メタブログ」という文章を書いた松永英明さんのページはリンクも豊富で勉強になりそう。――「ユリイカ:ブログ作法――メタブログ、そして情報風水試論[絵文録ことのは.]2005/03/29

個人の日記はたいてい公開されないことを前提としているが(「お母さん、勝手に見ないで!」)、ウェブ日記は公開を前提とし、他者とのつながりをも形成す る。いずれも、既存の表現と似たようなものではあるが、しかし、そっくり同じではない。このような「ゆらぎ」があるからこそ、「では今自分がやっているこ の表現形態はどういうものなのだろうか」という思考が生まれてくる。

ま、考え続けているひまはないが。

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