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March 16 プレフォルストの女見霊者、2冊 The Seeress of Prevorst [擬似科学周辺]

March 16, 2009 (Monday)

   あまぞんで注文してこの日受け取った本2冊。19世紀同時代の英訳と現代の研究書。

TheSeeressofPrevorst_DSC_0773.jpg

Justinus C. Kerner.  Trans. Catherine Crowe.  The Seeress of Prevorst, Being Revelations Concerning the Inner-Life of Man, and the Inter-Diffusion of a World of Spirits in the One We Inhabit.  (London: J. C. Moore, 1845)  Rpt.  Kessinger, 2008.  338pp.   [www.kessinger.net]

John DeSalvo.  The Seeress of Prevorst: Her Secret Language and Prophecies from the Spirit World.  Rochester: Destiny Books, 2008.  208pp.  $14.95 を [www.DestinyBooks.com]

   DeSalvo というひとは、本の終わりのところについている「著者について About the Author」によると、もともと biophysics の専門家で、もと大学の先生だそうです。「生物物理学」といういわゆる学際的な分野です。二十年以上にわたって the Shroud of Turin に関わっている科学者のひとりだったと書かれている、その  shroud of Turin というのは、いわゆる「聖骸布」というやつのひとつで、「トリノの聖骸布」と呼ばれるものですね。現在 ASSIST (Association of Scientists and Scholars International for the Shroud of Turin) という国際的な組織の会長さんだそうで。で聖骸布とアンドルー・ジャクソン・デイヴィスとエイブラハム・リンカーンとピラミッド研究が研究の専門みたい。ふーん。彼のWebsite―― www.gizapyramid.com と www.andrewjacksondavis.com  だそうです。

  そのDeSalvo の本には文献表 (Bibliography) と 索引 (Index) もついていて、ケルナーの本についての書誌情報の最初にキャサリン・クローの英訳本が挙がっています――

Kerner, Justinus.  The Seeress of Prevorst: Being Revelations Concerning the Inner-Life of Man, and the Inter-Diffusion of a World of Spirits in the One We Inhabit.  Translated by Catherine Crowe.  London: J. C. Moore, 1845, 1855, 1859.

   1845年初版のあとの1855年と1859年が出版年として挙がっています。ただ、本文を見ても3者に異同があるかは書かれていません。

  なんでこんな細かいことを書くかというと、はい、Kessinger のリプリント本のほう、つまり1845年初版のあんまりきれいじゃないコピー本(実際、コピーを取ったように、本の角が黒い影になっています)に図版がなかったからです。マジかよ~。

   初版にはなくて改訂版から付くということはありうることではありますが・・・・・・。

   そのケルナーの本のクロウによる英訳1845年版の冒頭の "Translator's Preface"(訳者序)を読むと、ドイツ語原著はかなり重複した記述があり、ある箇所はあまりにdry、 ある箇所はあまりにmystical、なんで翻訳にあたっては思い切って編集・意訳したみたいな説明が書かれています。マジかよ~。

  ただ、この長い副題は、ドイツ語版を踏襲しているもので、第一部が "Revelations Concerning the Inner Life of Man" (人間の内なる生に関する諸啓示)、第二部が "Revelations Concerning the Inter-Diffusion of a World of Spirits on the One We Inhabit" (霊たちの世界の我々の住む世界への流入〔相互拡散〕に関する諸啓示)で、そのふたつをあわせたものがタイトルに入っているのでした――The Seeress of Prevorst, Being Revelations Concerning the Inner-Life of Man, and the Inter-Diffusion of a World of Spirits in the One We Inhabit。

  全体を読みとおす時間的余裕はいまのところないのですけれど、どうやらクローの英訳書で "The Spheres Themselves" とそれにつづく "The Life-Sphere Proper" と題された8ページほど、全体がブラケット[ ]に入っているふたつの節――それの前には訳者のコメントが入っていて、"[We here insert a compendious account of the spheres, with which we have been favoured by a scientific friend.―TRANSLATOR.]" (ここにスフィア(球層)についての概略的説明をはさむ。これについては科学者の友人の交誼を得た)と書かれている――を眺めると、ここにSunsphere とかの図版が入っていたのではないかと想像されます(128-135ページ)。

  そうなると、ここらへんはクローのことばなのかもしれませんが、たとえばこんな文章があります。――

In a word, this life-ring is the seat of the soul, (Seele,) and the place of its confluence with the spirit (Geist.)  (By the word soul, is signified the abstract idea of the sum of all the intellectual and moral faculties; and by the word spirit, is indicated the pure reason―the conscience―the intuitive sense of the good, true, and beautiful―the over-soul―in one word, the Holy Ghost; all which are synonymous.)

   ゼーレ(Seele)はドイツ語で魂、ガイスト(Geist) はドイツ語で霊です。後半で "spirit" によって何を意味するかというと、と列挙されているのが「純粋理性 pure reason」、「良心 conscience」、「真善美の直観」、「オーヴァ―ソウル over-soul 〔これはアメリカの超絶主義者エマソンも使うことばですが、エマソンの場合は日本では「大霊」と訳されています。「大魂」だとダイコンみたいでかっこ悪いからという説明を受けたことがあります――誰にじゃい!w〕」、「<聖霊>」で、これらは同義だと締めくくっています。

  だから、やっぱり、三分説なのですね。

   それはそれとしてまたいずれ触れるかもしれませんが、よくわからんのは、たぶんクローも頭が痛くなってよくわからなかった可能性はあるわけですけれど、DeSalvo は英訳本とドイツ語本の図版を異なるヴァージョンとして並べています(*1)さらに知り合いから訳してもらったらしい忠実な英語訳を添えた図版も。

TheSeeressofPrevorst1sm.jpg

  これはクローの英訳本の図版です。このあいだ載せたのと同じです(こちらはなぜか4分割されていますが)。

TheSeeressofPrevorst2small.jpg

  これもクローの英訳本の図版だそうです。初めて見ました。

TheSeeressofPrevorst3sm.jpg

   これがドイツ語版(左上)と、それの忠実な英訳図版

   ・・・・・・・・・・・

   まんなかに挙げた、初めて見たと書いた「サークル」が "Life Circle" あるいは "Life Sphre" と呼ばれるもので、これが内部の円環、魂のスフィア。これは上の英語の引用にある "life ring" と同じだと思われます。そして "Sun Circles" と呼ばれるものが7つあって、それらは霊のスフィア。7年周期で七つのスフィアは転換していくのだそうです(一年にひとつずつ)。

   おそらく太陽を中心とする世界像というか、宇宙像で、日~土の7つのスフィアが世界を構成しており、相互に照応があるというようなハナシらしいことはわかってきましたが、細部は全然わかりません。科学的というのかよくわかりませんが、少なくとも図版はわけわかめです。

   でもたぶんつづく。

(*1)(別のSun-sphere のことかとも思いましたが、ドイツ語版で見つかる図版はやはり同じもので・・・・・・いずれにしても、電子化されたテクストがきちんと図版も載せてくれていないと何がなんだかわからないです。いや、ケッシンガーの復刻本についていえば、版を組み直すことによる誤りが生じない「コピー」が売りなのだから、ちゃんとコピーしてくれよ、ということなのですが、――異なるヴァージョンの愚痴は去年の夏に「July 19 ウェブスターの『フォー=プールズ・ミステリー』または本の電子化とテキストの正確性について――The Four-Pools Mystery by Jean Webster (続き) [本・読み物 reading books]」で書きました。)


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