SSブログ

November 23 XTC のホイールとメイポール――メイポールを巡って (4) の後篇 The Wheel and the Maypole by XTC: About the Maypole (4) Part 2 [歌・詩]

November 23-24, 2008 (Sunday-Monday)

November 22 ホイールとメイポール――メイポールを巡って (4) The Wheel and the Maypole: About the Maypole (4)  のつづきです。

  まず、サンマテオの居酒屋の舞について補っておきます。たいへん詳しいブログ記事はshina_pooh_at_sfo さんの「No.566 CMが頭から離れない人、手上げて 居酒屋 舞@San Mateo」〔『shina_poohな日々@San Francisco』 2008.10.15〕です <http://shinasfo.exblog.jp/9382759> サンマテオ、セカンドアヴェニューの居酒屋舞は、日系フリーペーパーに広告が載っているだけでなく、テレビでCMが流れるのですが、その歌詞が冒頭に正確に引かれ、そして、最後にウンチクが語られており、それによると舞ちゃんは日本に住んでいて、CM撮影のために毎年ベイエリアに足を運ぶのだそうです。また、ぴろりんさんの3年前のブログ記事 「ぬぅぁんと、居酒屋の舞に…」〔『Franklin@Filbert』 2005.7.6〕ではつぎのように書かれています。

最近KTSF(ベイエリアのTV番組でアジア系の番組を流していて日本語放送枠もある)の日本語番組のCMでサンマテオの居酒屋「舞」のCMが流れてますね。

♪ いざかやぁ~の まい
  なんちゃら(失念)の まい
  まい~ まい まい~ まぁい~ ♪ <http://blog.livedoor.jp/filbert/archives/27300755.html#more>

  このコマーシャルはどうやら3年前から流れているようですね。そうすっと、大将のおまごさんの舞ちゃんが(まあほんとに舞ちゃんというのかはわかりませんが)出てきたのは早くとも3年前ということになりますか。いや、なりませんね。歌だけだったかもしれない。 ・・・・・・

  ・・・・・・

  ・・・・・・まいっか。

  さて、"The Wheel and the Maypole" です。ブログ『amnesiac's music box』のskysong さんが、「XTC / The Wheel And The Maypole ('00)」という2007年5月の記事で適切にかつ詳しくまとめていらっしゃって、それをそのまま紹介してもよかったぐらいなのですが、つい歌詞全体を自分はだらだら訳してしまいました(因果ですかね)。次の曲は再掲。

XTC - The Wheel and the Maypole (5:47)

  しかも、いま見ていたら、コトバの切れ目とかがよくわからなくなった(We’ll build one bigger all around / Goes the wheel のところ)のと、"Of course it all unweaves"のit はなんだかわからんけど「それ」と訳して、unweave はふつう他動詞だから、目的語がall ととっていたのだけれど、語順が古めかしすぎるかな、と思ったし、やはりit は不明となってしまうので、未確認だけれど、自動詞的にとって it all が主語として訳しなおしました(因果ですかね)。ついでにリフレイン部分も全部書いてみた(w)――

ホイールとメイポール

君が畑をもつなら僕はスキをもつ
君が巣穴をもつなら僕はウサギをもつ
君が紙をもつなら僕はペンをもつ
時はネンドに過ぎず、僕は君とロクロ(ホイール)が回転するのを見るだろう
君とロクロが回転する

そしてポットが僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
僕たちはそれを大地に叩きつけよう
そしてポットが僕らの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
僕たちは大きいのを築こう すべて まわる
ロクロがまわる

君が谷間をもつなら僕は種子をもつ
君がアーント・サリー*の首をもつなら僕は大きな棒をもつ
君が運動をもつなら僕は時間をもつ
時はネンドに過ぎず、僕は君とロクロが回転するのを見るだろう
君とホイールが回転する

そしてポットが僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
僕たちはそれを大地に叩きつけよう
そしてポットが僕らの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
もしも僕たちの愛を入れられなかったら
僕たちは大きいのを築こう すべて まわる
ロクロがまわる


メイポール 
メイポール
メイポール 僕を君はくるくる回して僕の世界軸からはじき飛ばした
メイポール
メイポール
メイポール 君を縛る絆はほどけ、いつか僕は自由になるだろう
そしてあらゆるものは朽ちる

そう、あらゆるものは朽ちる
森は倒れ落ちて土壌となり
惑星は離れ落ちて
ただ星々の糧となり星の貯蔵庫にはいる

で僕たちはちがうとなぜ考えたのか
で僕たちが永遠に続くとなぜ考えたのか
僕はそれほどナイーヴだったのか
もちろんすべてはほどける

メイポール 
メイポール
メイポール 僕を君はくるくる回して僕の世界軸からはじき飛ばした
メイポール
メイポール
メイポール 君を縛る絆はほどけ、いつか僕は自由になるだろう
そしてあらゆるものは朽ちる

ピラミッドと宮殿は塵に帰す
帝国はもろくも崩壊する
ウェディング・ケーキはカビて腐りだす

で僕たちはちがうとなぜ考えたのか
で僕たちが永遠に続くとなぜ考えたのか
僕はそれほどナイーヴだったのか
気づかなかったとは

メイポール (ロクロはまわる)
メイポール (ホイールはまわる)
メイポール (君を縛る絆はほどけ いつか僕は自由になるだろう)
メイポール (ポットが僕たちの愛を入れられなかったら)

  wheel はネンド(clay) やポット(pot)との関係では轆轤(ロクロ)なのだけれど、もうちょっと抽象的というか幾何学的というか、つまりpoleに対して円環ですね。それで、訳語をふりわけました、適当に。

  skysong さんが書いてらっしゃるように、このアルバムの最後の12番目に収められた "The Wheel and the Maypole" という曲は、前半後半で "The Wheel" という曲と "The Mapole" という曲がふたつ合わさった構成になっています。翌2001年のデモアルバムというかドキュメントアルバムというか Homegrown の 最後の3曲は

18. Pot Won't Hold Our Love [Early Cassette Idea]
19. Everything Decays [Early Cassette Idea]
20. Wheel and the Maypole

 

  という並びで、歌詞がどうなっているのかは聞いてみないとわかりませんけれど、単純には18の「ポットが僕たちの愛を入れられない」が前半、「あらゆるものは朽ちる」が後半で20の「ホイールとメイポール」ができたと。ただし、それが寄り合わさって、あるいは縒り合わさって終わるかたちで合体しています。

えーと、skysongさんのことばを借りれば、 前半はポジティブな部分、後半は苦味を含んだ内容で、最後の「2本のリボン、そして曲の前半後半部分が縒り合わさるように、コーラス部分が重なって終わり」ます。ただし下の三つめの( )の中は前半ではなくて後半に出てきた文句。

Maypole (round goes the wheel)
Maypole (round goes the wheel)
Maypole (the ties that bind you will unwind to free me one day)
Maypole (if the pot won't hold our love)」

  さて、畑や穴や紙が女ないし女性ないし女性性なら、スキやペンやタネは男ないし男性ないし男性性をあらわすのはかなりの常套度があって、かつ曲全体の物語としては男女の愛が持続せずに壊れるお話なので、男と女をいろいろなぞらえているのな、ともちろん考えられるのですが、おもしろいのは、イメジが宇宙的な拡がりを見せるところです。そうなると、ふたりの男女じゃなくて、もっと原理的なことをどうやら問題にしておるように考えられる。そして、そのときに星や惑星だけでなく、時間と運動とかいう抽象語が出てくると同時に、前半では出てこなかったメイポールが、チャッチャッチャー♪ チャッチャッチャー♪ チャッチャッチャー♪ と繰り返された後で不意に叫ばれて出現するところがもちろんいちばん興味深い。それはあたかも前半では言及されなかったけれど、ホイールの中心に世界軸が立っており、それがメイポールだということのようだ。よくわからないが。

  もちろん五月柱はファルスだ的な解釈をあるレヴェルでほどこすことは可能でしょう。だけど、性的なあてこすりがしょっぱなからあるにもかかわらず、既にメイポールが発せられるときには、もっと抽象的な世界へいっちゃってますね、聴き手の頭は。たぶん。

   前半部分では、時間はネンドだと言われ、いっぽう「僕」は時間で「君」は運動、という割り振りが、上記のスキやらタネやらアナやらと並んで行なわれています。そして、「君がロクロ」、ではなくて「君がロクロ」回転する、という表現が出てきます。ロクロでネンドを使って作られるのがポットですが、「if the pot won't hold our love ポットに僕たちの愛がおさまらないなら」、というのは愛がそれだけ、文字通りあふれんばかりに多いということだから、ラブラブな感じがしそうなものですが、ポットとなるのがネンドなのだから、ネンドの側が足りなかったという相対的な問題であるのかもしれない。ましてや元の "Pot Won't Hold Our Love" は少なくとも文法的には否定だ(w)。

  でも、もちろん曲はのほほんとした雰囲気で、前半ではパラパラパラパーと、ビートルズの"All You Need Is Love" を思い出させるような(みたいじゃないかもしらんが)のどかなラッパの音がときどき流れ、後半へ行ってテンポアップしても、必ずしも暗いトーンの曲ではない。

  理屈をコネてもしょうがないと思いながら書いていますが、理屈が通じない一つの問題として、象徴レベルでの主体と客体の混乱というのがある気がします。「君」はネンドとロクロとポットにおいてどこに位置しているのか。それから、後半でいうと、"Maypole" と連呼される3度目と6度目で "you’ve spun me round and knocked me off my axis mundi" と "the ties that bind you will unwind to free me one day"という、それぞれに「僕」と「君」を含んだ台詞が続くのですけれど、そのときの「僕」と「君」と「メイポール」と「世界軸」の関係って、どうなってるのか。

  観念的にというのではなくて、文化人類学的に考えれば、中心の世界軸から離反することによって時間のなかに存在は落ちる。それはキリスト教のモノガタリでいうと、楽園の「知恵の木」の実をとって食べたアダムとイヴが、このままだと「生命の木」の実もとって食べるかもしれない(そうすれば神のようになるとヘビは教えるわけですが)、ということで神によって追放されて、楽園を失ない、mortal な、死ぬべき時間内存在となったということ。

  象徴という言葉を使い続けるならば、メイポール 五月柱は、世界軸ではなくて、実在たる(といっても目には見えんが)世界軸の象徴、目に見える姿となったものということになるでしょうか。ホイール 轆轤も象徴です。で、私目としては実体と象徴、本尊と権現の区別をつけようと頭では思いながらも、象徴の象徴たるゆえんはその二重性にこそあるのだと思わざるを得ない(メイポールをファルスとは見ないがね)。

  こう考えましょう。象徴としてのメイポールを女性がまわす。そのとき女性はホイールとともにまわる。・・・・・・

  わ、わからん。どうでもいいか~。

   僕はメイポールで、最初は孤独に世界軸として安定していたけれど、自我と愛に目覚めた(笑)。ロマンティックな自我にとっては世界は自我が投影されたもの、世界即自我。僕に巻きつけられたリボンは君の織り紡いだもの。それは言葉。思い。テキスト。

* 「サリーおばさん」は、イギリスの(もともとパブの)遊戯具。リーダーズの表現を借りれば、「1) 年増女の木像の口にくわえさせたパイプに棒を投げて落とす遊戯; パイプ落とし  2) その木像」 現在は具体的(象徴的?)な顔をもたない、抽象的・幾何学的なモノにとってかわられている商品もあるようです。次のサイトなどを参照――Aunt Sally - The Online Guide <http://www.tradgames.org.uk/games/Aunt-Sally.htm>

    日本のパンクバンド、 Aunt Sally (1978-79) による "Aunt Sally" ――<http://uk.youtube.com/watch?v=u6yPaABk3iE>  どうでもいいわ~♪ どうでもいいわ~♪ 1979年の夏にXTC が日本に来たときに、京都公演の前座をつとめたそうです。

---------------------------------------------------------

『インターネット講座2004 「宇宙から素粒子へ」』 「第2回 宇宙の構造」 <http://www.gw.hep.osaka-cu.ac.jp/vuniv/2004-physics/lecture2.html> : 古代インドの宇宙像 indiaUniv.jpg

   象徴が多すぎw でも基本は円環と中心軸


カリフォルニア時間24日夜9時過ぎ なんかこっちんほうがマッチしてるかも――

" Aunt Sally: Heart and Soul (1979 Aunt Sally Phew post punk) " (1:37) posted by suburbanbatherson" (United Kingdom) on September 1, 2008: "Aunt Sally's sublime singer Phew provides some sweet sing-along vocals for this cover version of the old standard 'Heart & Soul'..... Footage of boys, girls, pe teachers and injured soldiers, giving their heart and soul courtesy of the 'Land Of Promise' DVD set looking at 30s-40s neo-realist documentary film making at its finest."


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。