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October 3, September 30 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (2)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (2) [歌・詩]

 

October 3, 2008 (Friday) 

September 30, 2008 (Tuesday)

September 15 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1)

の1つ続きですが、

それの3分の1つづきの

September 26 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1 1/3)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1 1/3) の3分の1つづきの

September 27 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1 2/3)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1 2/3)

の3分の1続きでもあります。

   " 'S Wonderful " の歌詞がどうにもインターネットでは確定しないので、本の世界に入ることにし、図書館で参照しようとして前もって家で調べて書きだした本は以下の3冊でした。

Tommy Kraser.  Catalog of the American Musical.  [ML128.M78 K721 1988]

Ira Gershwin.   Lyrics on Several Occasions.  [ML54.6.G28 L9 1977]

The Complete Lyrics of Ira Gershwin [ML54.6.G28 K55 1993]

  まんなかの本はアイラ・ガーシュウィン(1896 - 1983) が1959年、自らの作品104曲の歌詞に解説や随想を付与してまとめた「詩集」です。

    Ira Gershwin, Gent.  Lyrics on Several Occasions: A Selection of Stage & Screen Lyrics Written for Sundry Situations ; And Now Arranged in Arbitrary Categories ; To Which Have Been Added Many Informative Annotations & Disquisitions on Their Why & Wherefore, Their Whom-for, Their How, and Matters Associative.  (New York: Knopf, 1959.  424pp. OCLC: 155771149)  という、長々とした、古風なタイトルの、瀟洒な本です。著者名のIra Gershwin にくっついている "Gent." は Gentleman で、「紳士」。アメリカ文学だとワシントン・アーヴィングが仮面をかぶって出した『スケッチ・ブック』(1819-20) その他が "Geoffrey Crayon, Gent." の著とか、という感じで、これも古臭い(まあ、「紳士」というのに別の意味がこめられておるのでしょうけれど――ジェントルマンというのは歴史的には貴族には入らないけれども家紋をつけることのできる身分(Yeoman(郷士)より上) ・・・・・・もちろんアメリカには封建身分と貴族制度はないですから独立後に消えていくさだめ・・・・・・だったわけですが、それをのちのいわゆる現代の、しかしこちらもアメリカ的には消えつつある紳士とダブらせているのでしょう、か)。現在はいくつかのペーパーバック版が出ています(あまぞん)。これは前に紹介した「阿野音楽教室(Jazz&pops/classic)」というページが参照している本です。

'S WONDERFUL


FUNNY FACE (1927).  Music, Geroge Gershwin.  "Liltingly."  Adele Astaire was Frankie, Allen Kearns was Peter.

Peter


  Life has just begun;
  Jack has found his Jill.
  Don't know what you've done,
  But I'm all a-thrill.
  How can words express
  Your divine appeal?
  You could never guess
  All the love I feel.
From now on, lady, I insist,
For me no other girls exist.

Refrain


  'S wonderful!  'S marvelous―
    You should care for me!
  'S awful nice!  'S Paradise―
    'S what I love to see!
You've made my life so glamorous,
You can't blame me for feeling amorous.
  Oh, 's wonderful!  'S marvelous―
  That you should care for me!

Frankie


  Don't mind telling you,
  In my humble fash,
  That you thrill me through
  With a tender pash.
  When you said you care,
  'Magine my emosh;
  I swore, then and there,
  Permanent devosh.
You made all other boys seem blah;
Just you alone filled me with AHH!

Refrain


  'S wonderful!  'S marvelous―
    You should care for me!
  'S awful nice!  'S Paradise―
    'S what I love to see!
My dear, it's four leaf clover time;
From now on my heart's working overtime.
  Oh, 's wonderful!  'S marvelous―
  That you should care for me!

  以上が詩と詩の前置きの部分の全部で、あとは2段落にわたって音の効果について(この曲は "Sound Effects" という「カテゴリー」に入れられています)の解説、そしてスペースをあけて"The Proper Twenties" と題した時代随筆のようなものが1段落(あわせて25行くらい)ついています。それはあの阿野音楽教室のページに日本語訳で引かれているので参照してください。・・・・・・あ、省略されている部分もありますし、2段落だけ原文を引いておきます。――

     The principal reason for writing this lyric was to feature the sibilant sound effect by deleting the "it" of "it's" and slurring the leftover "s" with the first syllable of the following word.  So I'm frequently baffled by what some singers have in mind and throat when they formalize the phrases to "It's wonderful," "It's marvelous," "It's Paradise," &c.
     Re "fash," "pash," "emosh," and "devosh" in the second verse: I had heard comedian Walter Catlett in Lady, Be Good! clipping syllables from some favored words, so thought it would be novel to adopt this device in a song.  I used it first in "Sunny Disposish," written with composer Phil Charig for Americana.  (A few years later I came across some light verse by England's Captain Harry Graham to discover that he had specialized in this lopping-off device long before me.)

  あ、引用だけだとさみしいだけでなく、著作権で目を付けられるかもしれないので、 日本語を書き足しておきます(姑息)。最初の段落の後半の、歌手のなかには "It's"と直す者がいて、いったいこのひとの喉と頭の中はどうなってるんだろうと困惑する、というのは、たとえば、この人たちです。―― <http://uk.youtube.com/watch?v=55oZN24D9S8> (Connie Frances 0:51); <http://uk.youtube.com/watch?v=9-zfro7lecc> <http://uk.youtube.com/watch?v=dlFuG3i2kTE> (Shirley Bassey 6:18; 4:44)。

  Lady, Be Good! は ガーシュウィン兄弟がFred Astaire, Adele Astaire たちと組んだ最初のミュージカルで1924年。Americanaは1926年のミュージカル(曲はジョージではなくてPhil(lip) Charig でした)。そのあと、この語尾を落とすという工夫は既にHarry Graham がずっと以前からやっていたことがわかった、と書かれています。ハリー・グレアムはちょっと変人のイギリスのライト・ヴァース詩人ですが、ブロードウェイのミュージカルにも詞を提供した人です。なお、アイラ自身はこういう説明なのですが、語尾をはっきり発音しないこういう話し方というのは1920年代のフラッパーの会話の特徴なのだというのがPhilip Furia の前掲書の説です(65-66ページ)。

    WEB上で見つかったもので上の歌詞の並びにいちばん忠実なのは、1997年1月31日にニューヨークのCarnegie Hall で行われたアイラ・ガーシュウィン生誕100年記念コンサートのRon Raines と4+8人の女性たち(豪華だわ~)のパフォーマンスです。――


" Ron Raines " 'S Wonderful " " (3:45) posted by "hanssmacker" on November 26, 2007


  歌詞で、Peter, Frankie と見出しがある、その直後のスタンザはそれぞれのいわゆる verse 部なのですが、続けてそれぞれ活字としてはPeter やFrankie と同じ位置に、同じ字体、同じ大きさで書かれている Refrain 部分(つまりChorus)の歌い手が誰なのか。それぞれ Peter と Frankie と考えたいのですが・・・・・・。この生誕100年記念コンサートはたいへん立派なものだったのだろうと思われますけれど、Frankie は4人に増えているし、8人バックを固めているので、どうもよくわからない。あ、もちろん聞けばおわかりのとおり、 Frankie のverse は女声で、そのあとの Refrain  は男声のRon Raines がリードして女声が輪唱的にリピートしたり、合唱したりしています。

  歌詞を見比べてわかることは、あの阿野さんの歌詞は、コーラス部分で男声と女声でちがう2行のみをカッコにいれて短縮したものだということ、改行も節約したものだということが了解されます。あ、もうせっかくだから、訳詞とともに再引用します。――

Verse 1 (male)

Life has just begun, Jack has found his Jill
Don't know what you've done, but I'm all athrill [a-thrill]
How can words express your divine appeal?
You could never guess all the love I feel
From now on, lady, I insist
For me no other girl[s] exist

Verse 2 (female)

Don't mind telling you in my humble fash
That you thrill me through with a tender pash
When you said you care, 'magine my emosh
I swore, that [then] and there, permanent devosh
You made all other boys seem blah
Just you alone filled me with aah!

Chorus

'S wonderful! 'S marvelous
You should care for me!
'S awful nice! 'S Paradise
'S what I love to see!

You've made my life so glamorous
You can't blame me for feeling amorous
(My dear, it's four leaf clover time
From now on my heart's working overtime)

Oh, 'S wonderful! 'S marvelous
That you should care for me!

 ヴァース1(男性)

人生はたった今始まったんだ、ジャックがジルを見つけたのさ
君が何をしたのか知らないけど、僕は興奮でいっぱいさ
君の素晴らしい魅力は言葉では表現できそうもないな
僕の感じている熱い思いは君には判りっこないさ
ねえ、僕はこう言いたいんだ、いまこの瞬間から
もうほかの女性は僕には存在しないとね

 ヴァース2(女性)

あなたは優しい情熱で私を魅了してしまったって
素直に言わせてもらうわ
私を好きだってあなたが言った時の私の興奮ぶりを想像してみて
そのときそこで私は永久にあなたに尽くそうと決心したの
あなたはほかの男性たちを皆つまらないものにしちゃったわ
わたしにアァって溜め息をあげさせるのはあなただけ

 コーラス

スーばらしいな、なんてスーてきなんだろう!
きみが愛してくれるなんて
スーごくいいな、スーっとして天国にいったみたいさ
見てるだけでもスーきになっちゃうね

きみが僕の生活を輝かせちゃったんだぜ
僕が恋の気分に浮かれたからって責めないでおくれよ
(もう幸せいっぱいの時間ね!
私の心ははしゃぎすぎて、これからはオーバー・タイムよ)

スーばらしいな、なんてスーてきなんだろう!
きみが僕を愛してくれるなんて <http://www.anomusic.com/kashi/body_l.htm>

   パンクチュエーションも含めて、灰色にした部分は書き写した際の誤差(?)の範囲内だと思われます。

   ですが、Ella Fitzgerald Page あるいは George and Ira Gershwin Lyrics Pageを源泉にしてネットに広まっている "Original Version" とはくりかえしの書き方がちがうものもありますが、やはりこれが元なのだろうと推定されます(特にオオモトのこれ <http://www.thepeaches.com/music/ella/SWonderful.htm> は)。Lyrics なんたらいうような各種あるページでリフレイン部分がやたら長いものは、善意なのかもしれない(つまり、聞いたら繰り返し歌っていたから)、あるいはコピペの誤りなのかもしれない。

  ちょっと長くなったので、その(3) へ続きます。

October 4 ミュージカルの歌詞というもの(上)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (3)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (3) [2008/10/05 23:37]

 


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