July 5 "Oh! Susanna" の日本語歌詞をめぐって (1の下篇) [歌・詩]
(つづきです。
すいません、予想外に3分割となりましたので上からごらんくださるとありがたいです)
次のは津川主一訳と明記されているのですがほんとなんでしょうか? 「バンジョー肩に」というのはモーリちゃんの父の教わったフレーズなのですけど。「おおスザンナ泣かないでね」はないと思うのだが……。
おおスザンナ
津川主一訳詞
フォスター作曲
わたしはアラバマから バンジョー肩に
はるかなルイジアナまで 行くのです
どしゃぶりかと思えば かんかん照りで
死ぬほど辛い旅を しています
おおスザンナ 泣かないでね
素敵なバンジョーの歌 思い出して
http://homepage2.nifty.com/stn/y03oosuzan.html
ううむ。
「素敵なバンジョーの歌」というのも「はるかなルイジアナ」というのも日本語がヘンだ。
一方、次のは堀内敬三の詞でさらに久保田麻琴補作詞曲となってますけど、明らかに津川主一が元ですねえ。
オー・スザンナ
詞:堀内敬三
曲:S.C.Foster
補作詞曲:久保田麻琴
Tuba:久保修平
Background vocals:King ChamD, Sandi&麻琴
わたしや アラバマからルイジアナヘ
バンジョー持って出かけたところです
降るかと思えば 日照続き
旅は辛いけれども泣<んじやない
※オー・スザンナ 泣<んじやない
旅は辛いけれども泣くんじやない
※repeat
そして舟に乗り込んで河を渡り
さまざまな事に出会いました
時には死ぬような思いをして
息を殺したり 立ちすくんだり
※repeat 4times
わたしや アラバマからルイジアナヘ
バンジョー持って出かけたところです
いつかはきっとたどり着<だろう
あの河の向うに輝くディキシー・ランド
※repeat 2 times
久保田麻琴って、夕焼け楽団の久保田麻琴ですねー。モーリちゃんの父は去年広島の中古レコード屋でで元奥さんのサンディー (& the Sunsetz) の Rhythm Chemistryという1987年のアルバムをタイトルとジャケットに引かれて買いました。
あ、補作詞の前のヴァージョンはけん――
オー・スザンナ /斉藤哲夫 堀内敬三作詞/フォスター作曲
斉藤哲夫編曲
わたしゃ アラバマからルイジアナヘ
バンジョーを持って出かけたところです
降るかと思えば 日照り続き
旅は辛いけど 泣くのじゃない
※オー・スザンナ 泣くのじゃない
バンジョーを持って出かけたところです
舟に乗りこんで 河を下り
さまざまな事に であいました
時には死ぬような思いをして
息を殺したり 立ちすくんだり
〔Song/武蔵野フォーク 〕
斎藤哲夫って、今の君はピカピカにてかって~♪、いや光って~♪ の人ですよね。あ、 いや、堀内敬三プラス斎藤哲夫ということですか。つーことは津川主一プラス堀内三プラス斎藤哲夫で、前のは津川主一プラス堀内敬三 +久保田麻琴なのね。
久保田麻琴と斎藤哲夫 はだれの詞に対してであれ「補」といちおう言っているわけだが、堀内敬三はどういうスタンスだったのでしょう。堀内敬三は(も)ウィキペディアに載っています。引きます。――
堀内 敬三 (ほりうち けいぞう 1897年12月6日 - 1983年10月12日) は、日本の作曲家、作詞家、訳詞家、音楽評論家である。
「浅田飴」オーナーの堀内伊太郎の三男として生まれる。大正10年にミシガン大学、次いでマサチューセッツ工科大学大学院を修了した。本来は工学専攻であったが、ミシガン大学併設の音楽学校でも学び、帰国後作曲、作詞、音楽之友社創立に携わった。NHKラジオの「音楽の泉」でも有名である。外国で入手した楽譜と語学力とを活かして優れた訳詞を行い、日本の翻訳歌曲を芸術の域に高めた(主観的表現に注意)。これらの訳詞は永井郁子の日本語による独唱会(初回は大正14年11月1日、帝国ホテル演芸場。同様の会が3年にわたって開かれた)向けに短期に集中して行われたと思われる。
また自他共に認める鉄道ファンであった。<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E5%86%85%E6%95%AC%E4%B8%89>
1897年生まれというと 津川主一 (1896-1971) のひとつ下なのですね。堀内と久保田と斎藤の3人がそれぞれどのようにオリジナリティーなりなんなりを出したのかはっきりしませんけど、はっきりわかるの は、津川主一の訳が堀内敬三より前に存在したのならば、堀内訳というのは津川主一の名前なしには出せないだろうと推断されることです。逆に堀内敬三の訳 が、久保田麻琴、斎藤哲夫による改変部分を戻したときに津川訳に似ており、津川訳より前に存在していたのならば、津川主一の訳というのはなんだったのか、 ということになる。それともネットにでまわっている津川主一訳は堀内敬三訳なのでしょうか。いや、上のふたつのサイトが津川と堀内を取り違えて、誤って堀 内敬三と書いている可能性が高いですかね。いやあインターネットってほんとこわいですね。
あ、この回の上に載っている津川主一の訳はへんなので、上篇で引いた次のリンクをご参照ください。 < http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/oh_susanna.html >
ううむ。しかし堀内敬三はフォスターを訳しているのも事実ですな。『世界の愛唱歌ベストコレクション』の「故郷の人々(スワニー河)」、『大石昌美ハーモニカ選集世界名歌篇』の「夢路より(夢見る君)」。まあ、これも間違っている可能性はあり。
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「斉藤哲夫ライブ」 <http://yaplog.jp/marantz/archive/374> 〔今年2008年2月の妙見山某所でのライブをつづるレトロボーイブルーズさんのブログ。続と続々に登場ですが、最初の弦楽器の臨場感あふれる写真もよいです。ブルーグラス、カントリー、ブルース、みんな民衆のという意味でフォークという感じがする〕
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