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August 30 性と肉体的接触――ラインダンスとフォークダンス (4)  Gender and Physical Contact: Line Dances and Folk (4) [スザンナ周辺]

August 30, 2008 (Saturday)

Tiller Girls 1891 Oldest .jpg

The Tiller Girls (1891)  左から3人目は Madge Vernon、5人目は Bessie Cohen <http://www.tillergirls.com/Tiller_Page_2.htm>

   ラインダンスについては、"line dancing" にせよ "line dance" にせよ、アメリカ起源のことばではないかという感じが強いのですけれど、「横一列に並んだ踊り手たちが音楽に合わせて一斉に、振り付けられたステップのパタンに従って踊るラインダンス」にせよ「複数の踊り手がラインに並ぶさまざまなダンス、特にフォークダンスまたはカントリーダンス」にせよ、あるいは「同時に同じステップ・シークウェンスをラインに並んだ複数の踊り手が繰り返す振り付けられたダンス」にせよ(以上、順に、リーダーズ、OED、Wikipedia の主旨をまとめなおしたもので権威はありません)、アメリカでおそらく1920年代に "line dancing" や "line dancer" なる言葉が作られる以前から実態として存在したと想像されます。イギリスのTiller Girls や、Tiller Girls と相互に影響をあたえあったのだろうと考えられるフランスのカンカンとか、女性コーラスラインの踊りはあったわけでしょうから。

  で、ここで脚上げ問題に戻ることはせずに、もともと(1) で書こうとしていたことを、その後の考えも含めて、 忘れないうちにメモしておきます。

OED の "line dance" の記述にまったく欠けていて、Wikipedia の記述にあるのは、性差に無関係に並ぶ("without regard for the gender of the individuals")ということと、身体的接触がない("Line dancers are not in physical contact with each other")という点です。このふたつは冒頭のややアバウトな感じもありますが定義めいたところに書かれています。そうして、 "History and culture" の項では、歴史的な記述が、folk dance を引き合いに出してなされます。――

Line dance is sometimes thought of as originating in the Wild West. In fact, it has a much more diverse background. Many folk dances are danced in unison in a single, nonlinear "line", and often with a connection between dancers. The absence of a physical connection between dancers is a distinguishing feature of country western line dance.

そのあと、日本語のウィキペディアの「ラインダンス」とはちがって、古いところからのラインダンスの(といってもカントリーウェスタンとつながる1970年前後のディスコ時代からのですが)展開が、音楽との関係で書かれています。しかし、とりあえず今モーリちゃんの父に面白いのはこの性と肉体接触の問題です。訳します。

ラインダンスは、ときに、西部に起源をもつと考えられている。実は、もっとずっと幅広い背景を有している。多くのフォークダンスは、一本の、直線でない「ライン」で一斉に踊られるもので、しばしば踊り手同士の接触が存在する。踊り手同士の身体的接触の欠如はカントリーウェスタン系のラインダンスの際立った特徴である。

  まあ、言葉足らずといえば言葉足らずなので(ヒトのことは言えない)、 文意がよくわからない感じがなきにしもあらず。同じ動作を全員が行うという点でフォークダンスとの類似を見つつ、しかし体が触れ合わない、というところが違うということでしょうか。それと西部はどう関係するのかは不明。実際のところモーリちゃんの父には知識がありません。植民地時代のアメリカで、たとえばメイデイの祭りとかでフォークダンスを踊っていたのは知っています(見たんかい)。ただそれは旧世界からもってきた伝承の踊りでした。

  で、ここからモーリちゃんの父の妄想です。さて、フォークソングとフォークダンスとは違います。けれども、どちらも観念としては民衆のなかに育まれたものという感じがあります。歴史のない移民の国アメリカにはフォークソングもフォークダンスも、だから、実はなかった。スティーヴン・フォスターは、そういうアメリカにフォークソングの芽をまいた人でした。「June 22 おおカリフォルニア!(1) おおスザンナ! (1) Oh! California Oh! Susanna 」以来あれこれ書いてきたフォスターの初期のヒット作「おおスザンナ」は、ちょうどゴールドラッシュの時期と重なって、西部へ向かった人々の愛唱歌となり、また、スザンナポルカというフォークダンスのかたちで踊られたのでした。ま、ここまではほぼ妄想ではないですねw

  スザンナポルカの映像(August 14 スザンナ・ポルカ Susanna Polka)を探しているときに、多量に見つかったのが「おおスザンナ」のカントリー的なラインダンスの映像でした(August 15 おおスザンナ・ラインダンス Oh! Susanna Line Dance)。そこでは南部が西部へ転換し、Rednex の歌詞にいたっては、女が sweet cowboys を探して、一緒に踊ろうよ、と歌っているようでした(August 17 レッド・ネックスの「おおスザンナ」とウェスタン Rednex, "Oh Suzanna" and the Western)。この性差の問題については、たまたまSue さんが「おおスザンナ」を歌っているビデオをとりあげたとき (August 21)に "A Boy Named Sue" というジョニー・キャッシュの曲をたまたまとりあげましたが、それをタイトルとして カントリー・ミュージックにおける性差の問題を論じた論文集が出ていることを知りました――A Boy Named Sue: Gender and Country Music (University Press of Mississippi, 2002: ISBN 978-1578066780)。

  男性的なものであったウェスタンあるいはカウボーイを女がのっとること。あるいは男性性を女性化すること。あるいは男性と女性という区別をなくす(かのようにふるまう)こと。

  フォークダンスは、小学校を思い出しても、男と女の数を合わせて交互にもしくは向かい合って組んで踊ったような踊らなかったような(どっちなんじゃい)。あ、男子と女子の数があわないと女になる男や男になる女の子がいたような気もします。そして、手と手を絡ませるのでした(ははは)。そういう人間的エロスを排除した(と一見見える)のが、カントリーウェスタンラインダンスの特徴のようです。しかし個々人は同じ動きをするのでした。これはきわめて現代的な個の人間の状況が投影されているようないないような。

    OED を考察したいま、Wikipedia 的な、というか1970年代以降とりわけはやっているいまふうなラインダンスは、舞台上の line dancing から少なくとも言葉としては来ているのだろうな、と考えているのですが、フォークダンスと同様に、肉体的接触と性差問題で、ギャップがあるのでした(もっとも歌手のバックで踊るラインダンスとかは性を考えているように見えますけどね。あたりまえですが、男でも女でもどういう並びでもいいというようなのはあんまりないような・・・・・・あ、TRF が新しいのはそこだったのか。女だけのスーパーモンキーズはMAX として独立し、安室奈美恵が従えたバックダンサーたちは・・・・・覚えていませんw)。

    Tillers とか日本の歌劇団というのは、これはこれでジェンダーフリーのようなジェンダーフリーの正反対のような、不思議な世界ですね。そしてテンネンさんの鏡音レン歌による女性仇打ちソング(July 20 嗚呼スザンナ―― 「おおスザンナ」のあやふやな歌詞などのいろいろ の続き )。

    とまあ、ぜんぜんまとまっていませんけれど、ここまでの断片と見えた記事のつながりぐあいのメモでした。( ..)φメモメモメモ ブログ村 洋書・洋楽・映画の英語

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