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December 20 『人種・精神分析・フェミニズム』 Female Subjects in Black and White, ed. by Elizabeth Abel, Barbara Christian, Helene Moglen [本・読み物 reading books]

December 20, 2008 (Saturday)

   なんで注文したのか今になるとよく覚えていない本というのがある。

FemaleSubjectsinBlackandWhite.jpg

Ed.  Elizabeth Abel, Barbara Christian, and Helene Morgan.  Female Subjects in Black and White: Race, Psychoanalysis, Feminism.  Berkeley: Universit of California Press, 1997.  373pp.

  メインタイトル、訳せません。黒と白の女性主体。かしら。いや。白黒の女性主体。もちろん人種的には黒人・白人。絵画(写真)的には白黒の主題。

   カリフォルニア大学の3人の先生が編者になって16人の女性研究者が執筆した論文集。出版の5年前の1992年にカリフォルニア大学 Santa Cruz 校で開かれた "Psychoanalysis in African American Contexts: Feminist Reconfigurations" という学会がもとになっている。

  編者のひとりElizabeth Abel はバークレーの先生で、Virginia Woolf and Fictions of Psychoanalysis の著書があり、(共)編著として Writing and Sexual Difference、それから The Signs Reader、それから、これは日本に持っているのだけれど、 The Voyage In: Fictions of Female Development とかある。人種、性差、ヴィジュアル・ポリティックスに関心が深いらしい。もうひとりの編者のBarbara Christian もバークレーの先生だけど、専門はアフリカン・アメリカン文学(つまりいわゆる黒人文学)の人で、著書に Black Women Novelists: The Development of Tradition, 1892-1976 Black Feminist Criticism: Perspectives on Black Women Writers がある。あと、ノートン版のアフリカン・アメリカン文学のアンソロジーの編者になっている。

  執筆者のひとりの Katherine Clay Bassard というのもバークレーの英語の先生だけど、19世紀までのアフリカン・アメリカン文学と文化(つまりいわゆる黒人文学)が専門の人で、宗教的なことにも関心があるらしい。著書は Spiritual Interrogations: Culture, Gender, and Community in Early African American Women's Writings.  あと執筆者では、やっぱりバークレーの比較文学のJudith Butler が一番有名かもしれない(『ジェンダー・トラブル』を書いた人)。

   "The Occult of True Black Womanhood: Critical Demeanor and Black Feminist Studies" (Ann duCille) とか "The Poetics of Identity: Questioning Spiritualism in African American Contexts" (Carolyn Martin Shaw) とか "Channeling the Ancestral Muse: Lucille Clifton and Dolores Kendrick" (Akasha (Gloria) Hull) とか面白げなタイトルの論文もあるのだけれど、どうもノリが違うのだった(そんな言い訳でいいわけがないが)。

   ううむ。たとえば、レトリックがわかりやすいキャロライン・マーティン・ショーというひとの「アイデンティティーの詩学――アフロ・アメリカの文脈においてスピリチュアリズムを問う」。冒頭近くで、「さまざまな psyche の意味――soul, mind, spirit――のなかから、アフリカン・アメリカン・フェミニストのなかにはspirit に結着した者たちがいる。spirit のさまざまな解釈――意識、感情、情緒、宗教――のなかから、彼女たちは三つの見方を選びとる――肉体をもたぬ生の力としてのspirit、他者との連携や結合の強烈な感覚としてのspirit、そして個々の人間存在の永遠の、超越的な特性としてのspirit。」(350ページ)

  この収斂しているようで実は拡散的な分類はなんなのか。問題はこの本が psychoanalysis を標榜していることで、だから、「精神分析」の対象となる psyche として捉えられているわけだ。

  本来的に属さないモノを同じ土俵にむりやりあげていったん属させてから分析するのは科学的ではなくてレトリカルなふるまいだと思われ。まあ科学じゃなくていいんですけれども。

  思いだしたのだが、ほとんどこれはジャケ買いしたのでした。で、黒人にこれほど比重があるとは思わなかったのです。これは自分の勝手でしかないのですけれど、フォスターの「おおスザンナ」をまだ頭の中に引きずっていたのです。

  Jay DeFeo, Untitled (tripod series).  1977.

    なんか、『アラバマ物語』の女の子を思い出し(か)。クイアーか。(わけわかめ)


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