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October 13 ジュディー・バターフィールドの "How Long Has This Been Going On?" と "All the Things You Are" "How Long Has Been Going On?" by Judy Butterfield [歌・詩]

October 13, 2008 (Monday)

    また、自分の記事を読み直していたのだが、 「October 10 【メモ】 コピー、ジャズ、ジェンダー」に引用した、『ジャズ詩大全』から引かれたらしい文章を読み直して、ひとつには、映画『パリの恋人』でオードリ・ヘップバーンが歌い踊るのは「図書館の中でこの曲を歌う場面」とあるけど図書館じゃないよなあ、と思った。なにしろ何十年も前に見たきりだったので、よく覚えていないけれど、映像を見ると、たぶんニューヨークのグリニッジヴィレッジのジョーの本屋ですかね。本屋にしてもだいぶモーリちゃんの父の蔵書くらいにいろんなところに積み上げられて、整然としておらないけれど。あ、また読み直して気になったのでもちっと書き留めておきます――「しかしこのミュージカルは最初は [Smarty うぬぼれ屋] という題でフィラデルフィアで上演されたが、ウィルミントンの木、金曜日の興業では客は二百人足らずだったとアイラは回顧している。そこで曲を入れ替えたり物語を手直ししたり、題名を [Funny face] と変えたりして、その週の売上は六千ドルだったが、次にニューヨークのアルヴィン劇場の柿落としでは週四万四千ドル稼いだという。しかし、そのためにこの曲自体は落とされて使われなかった。〔太字による強調付加〕」 自分でメモった英文資料を見ると、10月11日Philadelphia初演、10月31日よりWashington, D.C.、11月7日よりAtlantic City、11月14日よりWilmington、以上で地方でのtryout は終わり、Funny Face とタイトルをあらためてNew York ブロードウェイのAlvin Theater で11月22日初演。

  さて、フィラデルフィアはペンシルヴェニア州の人口100万を超える大都市、ウィルミングトンはデラウェア州の人口10万に満たない都市だが、モーリちゃんの父の調査では、ブロードウェイのtryout プレ興業の伝統"its long tradition and national reputation in previewing Broadway tours and shows" をもつ The Playhouse Theatre (席数1252.現在のDuPont Theatre) <http://www.playhousetheatre.com/aboutus.html> だったようです(ちなみにブロードウェイのアルヴィン・シアター(現在の Neil Simon Theater)の席数は1400足らずらしい)。そして木・金とあるが、あの日は何曜日、という便利なサイト(The Perfect Perpetual Calendar 〔「あの日は何曜日? 10000年カレンダー」 の英語版〕)で調べてみると、1927年11月14日は月曜日でした。そうすっと、木金は17日と18日しかない(翌週の火曜日22日にはニューヨークだから)。ともかくブロードウェイ直前の興業地がWilmington だったので、そこで突然書き直しが行なわれたのではなく、ずっとモメにモメておったことはメモを参照していただくとわかります(「October 12 【personal note】 Funny Face (1927)」 いや、細かいことを書いてなにが言いたいかというと、実は細かいことはどうでもいいと思っておるのだが、細かいことを書くなら正確を期す必要があるだろうということです、これは自戒もこめて。

  もうひとつには、 「エラ、サラ、カーメン他多くの人が出しているが、なんといってもルイ・アームストロングのヴァースからじっくりと歌っているものが群を抜いて いる。」という文に大人げなく反発してしまった(笑)。オードリが一番である。

    ところで、ヴァースから歌っているもので、Judy Butterfield という若い女性のものがYouTube にあった。とてもよい。 モーリちゃんの父好みの、まっすぐそうなお嬢さんである(どういう日本語だよw)――


"How Long Has This Been Going On?" (4:56) posted by "GlynnODonnell" on November 23, 2007: Judy Butterfield singing "How Long Has This Been Going On?" as part of the Mabel Mercer Cabaret Convention, Jazz at Lincoln Center, New York City, November 5, 2007.

   ジュディー・バターフィールドは、サンフランシスコ生まれ(奇遇ですな)。14歳で歌手デビューし、2005年9月、15歳のときにファーストアルバムJudy Sings Judy: Live at the Empire Plush Roomをリリース(ライブで音源が悪かったようですが)、ホームページ<http://www.judybutterfield.com/index.php>によると、たぶん今月末に新しいアルバムHow Long Has This Been Going On? を発表のようです(昨年9月に同タイトルのショーをサンフランシスコでプレミア、それからニューヨークでも公演して、そのときの映像が上の画像のようで。だから当時17歳か。若いなあ。

facecover.jpg Judy Butterfiled - Home - <http://www.judybutterfield.com/index.php>

gallery7.jpg Judy Butterfield on the set "Lost Hollywood" --Directed by Jon Bernstein <http://www.judybutterfield.com/lost.php> Copyright © 2006 JudyButterfield.com

  『キャバレー・ホットライン・オンライン・ニュース』という、カタカナにすると怪しげなサイトがこの昨年11月のニューヨーク公演の記事を残しています("JUDY BUTTERFIELD RETURNS TO THE ALGONQUIN WITH NEW SHOW" CABARET HOTLINE ONLINENEWS -NYC -)。11月5日の一日ポッキリいやコッキリだったようです。  

                   fallingfrog1.gif

  ところで、このヴァース、なんか違ってますね。難聴気味のモーリちゃんの父の耳で2度聴いて書きとって検索してみると、それは、別の曲、"All the Things You Are" 「君は我がすべて」 (1939) のヴァースなのでした(君は我がすべてというより「(君が)君であるものすべて」なんでしょうけど)。――

Time and again I've longed for adventure 〔聞きなおしたらaffection に改変されてました〕,
Something to make my heart beat the faster.
What did I long for? I never really knew.
Finding your love I've found my adventure [affection],
Touching your hand, my heart beats the faster,
All that I want in all of this world is you.


You are the promised kiss of springtime
That makes the lonely winter seem long.
You are the breathless hush of evening
That trembles on the brink of a lovely song.
You are the angel glow that lights a star,
The dearest things 〔(that)―フランク・シナトラは(CA時間10.18追記) 〕I know are what you are.
 Some day my happy arms will hold you,
 And some day I'll know that moment divine,
When all the things you are, are mine!

  若い人はやることが違いますね、つーか、この歌はガーシュウィンの歌じゃなくて、オスカー・ハマースタイン2世 (1895 - 1960) の詞です(曲はJerome Kern)。〔ついでながら、この詞を調べようとして検索していたら、「All The Things You Are~ブロードウェイの光と影~」<http://www014.upp.so-net.ne.jp/komati-nikki/all-the-things.html>というページに行きあたってしまいました。原詞がないのはいいとして、verse の部分もなくて上の後半のchorus [refrain]のところだけ扱っていました。まあ、そういうものでしょうが、このページは1997年ごろにつくられたようなのですが、「この訳詩の問題点」とか「読者のみなさんから寄せられた解釈」とかあって、ちょっとビビった、いや感動しました。ジャズ詩大全だけじゃないっすよね。HP はなんというのだろうと思ったら、畑中久美子さんというひとの『開けてびっくり Jazz 詩玉手箱』というのでした。ああビックリした。〕

  リフレインの部分はこういう歌です。――

                                                    "All The Things You Are - Frank Sinatra" (3:02) posted by "umwelt1998" on February 23, 2008

   折角ですので『徒然帖』も参照―― <http://d0v0b.info/kyoku/a/allthethings.html>


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October 8, 19 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット I ――ミュージカルの歌詞というもの(下の1)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (4)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (4) [歌・詩]

October 08, 2008 (Wednesday)

    「ス・ワンダフル」について、歌詞のヴァリエーションがあまりにたくさん出てきたので、ひとつの独立した曲としてではなく、ミュージカルのなかの曲として考えざるを得なくなったのだけれど、いまのところ1927年のミュージカル『ファニー・フェース』について、モーリちゃんの父はせいぜいあらすじとキャストくらいしかわかりません。

  インターネットで調べていると、IBDB [Internet Broadway DataBase]: The Official Source for Broadway Information というサイトがあることがわかりました <http://www.ibdb.com/index.php>。Funny Face のページ <http://www.ibdb.com/production.php?id=10498>には、劇場のAlvin Theatre, (11/22/1927 - 6/23/1928)〔実はこの劇場のコケラオトシだったのです〕や、初演日やカテゴリーや、2幕のミュージカルだということやSetting はJimmy Reeve 〔カリフォルニア時間20日朝追記―IBDB はReeve としていますが Reeves が正しいようです〕邸、Peter Thurston 宅、New JerseyのWapatog 湖、Atlantic City とか情報、そして、"Songs in this Production"という別ページへのリンク、それから初演時のスタッフ "Opening Night Production Credits"、初演時のキャスト"Opening Night Cast"の一覧が並んでいます。残念ながら、物語・筋書きは書かれていないみたいですけれど。

  モーリちゃんの父はUCバークレー の音楽図書館のレファレンスルームで、 Catalog of the American Musical: Musicals of Irving Berlin, George and Ira Gershwin, Cole Porter, Richard Rogers & Lorenz Hart by Tommy Krasker and Robert Kimball を参照したのだが、ガラスのドアの出入り口を出て番台みたいなところに座っているお姉さんの前を通らないとコピーの機械のあるところまで行けない。ちょっと迷ったけれど、持ちだしてコピーはダメよ、とか見とがめられるのが怖かったし、書き写すことにした。昔は必要なメモを手書きで写し取っていたのだものね、みんな。

  しかし、WEB にはたとえばGoogle Book Search というようなものもあって、検索してみると、出てきます、断片的にだけれど。知らなかった本も。

  マイナーな役のDugsie で検索すると、<http://books.google.com/books?hl=ja&as_brr=0&id=WosYAAAAIAAJ&dq=Funny+Face+American++Musical&q=Dugsie&pgis=1#search> と、あ、やっぱり1ページだけやね。しかし「この書籍に登場する場所」とか、ほんとかどうかわからんが出てくるのがすごい。小説とかだと面白いかも。

  閑話休題。 図書館で書きとったメモがどこかにまぎれて見当たらないので、このページから書き取ります(pdf.なのでコピペが単純にはできない)。

Jimmy Reeves has three wards: Frankie, June, and Dora.  When Jimmy takes Frankie's diary (she has been filling it with nasty lines about him), Frankie enlists a pilot she worships (Peter) and Dora's boyfriend (Dugsie) to steal it back.  But while Peter and Dugsie are carrying out their mission, two real crooks―Chester and Herbert―break into Jimmy's home to purloin the family jewels.  The diary and the jewels (both kept in blue envelopes) [. . .] とここまでしか見られません。

  ジミー・リーヴズはフランキー、ジューン、ドーラという3人の若い女性の後見人。ジミーの悪口を書いている自分の日記をとりあげられたフランキーは、飛行士のピーター、そしてドーラの恋人のダグシーに、取り戻してもらうように取りつける。しかしピーターとダグシーが任務を完遂しようとしているとき、ふたりの本物の泥棒、チェスターとハーバートが宝石を盗みにジミー邸に押し入る。どちらも青い封筒に入った日記と宝石が・・・・・・

 

 


October 19, 2008 (Sunday)
  『ファニー・フェース』の筋をたどる――1

 


   その後、あれこれ調べたものを打ち込んでメモとして「October 12 【personal note】 Funny Face (1927)」にまとめました。ネット上に複数の媒体ででまわっているThe Oxford Companion to American Theatre の記述では、つぎのようなあらすじになっています。――保護者のJimmy Reeves ジミー・リーヴズ(フレッド・アステア)が Frankie フランキー(アデル・アステア)に宝石類を渡すのを拒んだので、フランキーが男友達のPeter Thurston ピーター・サーストン(アレン・カーンズ)に盗み出すよう依頼する。ふたりのコミカルな強盗Herbert ハーバート (ヴィクター・ムーア)と Dugsie ダグシー (ウィリアム・ケント)も宝石をねらっているが、仲間割れをしてしまう。しかしハーバートは射撃のライセンスをもっていないのでダグシーを撃てない。ということですべてまるくおさまり、フランキーは宝石と恋人を手に入れる。

   これは、上の断片的あらすじと違っているように見えますが、あれこれと総合するとこれから書くような話であったようです。ちょっと書いてみたのですが、音楽でも聞きながらのんびりと考えるのもよいかという気になったので、プロットを探りながらリンクをはります。問題は、ブロードウェイ前のプレ公演で最初から評判が悪く、徹底的な書き直しや入れ替えを行ない、それが直前まで続いたし、ブロードウェイ以降も、筋書きの改変はともかく、歌の取捨はあったことです(もちろんブロードウェイ前のtryout 時の変更が大きいのですが、"Blue Hullabaloo" という曲がブロードウェイ公演の初期に落とされてロンドン公演では使われなかったとか、ロンドン公演では"He Loves and She Loves" のかわりにガーシュウィン以外の手になる"Imagination" という曲が使われるとか、他の曲にも歌詞の追加(アイラのものではないと推測されている)があるとかもするわけです)。

  メモのD, E, F の文章に改編の苦労が書かれています。適当にまとめると、リブレット libretto (劇場音楽の台本)は、もともと Fred Thomson とRobert Bencheley の手になる  Smarty でしたが、10月11日に始まるフィラデルフィアの初演で不評のためにベンチリーがおりる。そこでPaul Gerard Smith が呼ばれて曲の差し替えが行われると同時に、喜劇俳優のVictor Moore が投入される(コミカルな強盗役です)。Dの書き方では、この書き換えは要するにコメディーの要素を強化するもので、そこで入ってきたのが陳腐ではあるけれども宝石泥棒というプロットに加えて取り換えや誤解から生まれる笑いのディテールだったようです。

  ニューヨーク公演での物語はだいたい次のようです(次回に続きますが)。曲を青字で示すことにします。ジミー・リーヴズ(Jimmy Reeves)は自分の養い親の3人の実の娘ドーラ(Dora)、ジューン (June)、フランキー(Frankie)の後見人になっている〔このことは世代的には被後見人と後見人が同世代であり、ジミーとフランキーたちがそんなに年齢が離れていないこと、つまり恋愛の可能性があることを予想させます。実際のところ、舞台ではジミー役のフレッド・アステアの姉のアデル・アステアがフランキーを演じました。〕。娘たちは後見人ジミーの誕生日を祝うパーティーを開いている。客の中にドーラのボーイフレンド、ダグシー・ギブズ(Dugsie Gibbs) がいます["Birthday Party"――歌はゲストとドーラとジューンで、フランキーは不在。フィラデルフィアでは1幕の4曲目だったのが10月24日にオープニングナンバーに。tryout ではジューンとOlive という役の女性が歌ったが、オリーヴ役はニューヨークでは落とされてドーラに]。嘘つき娘のフランキーは、日記にジミーについての中傷を書き込み、ジミーは日記を没収して、封筒に入れて金庫の中に保管している。日記を取り戻したいフランキーはジミーの機嫌を取ろうとする(ここで歌われるのが "Funny Face"です)。 ミュージカルのタイトルとなる"Funny Face" は11月7日から12日のAtlantic City での公演で付け加えられた曲です。そのときは第1幕の終わりから2番目の曲でした。The Complete Lyricsでは "Birthday Party" の次に2曲目として102から103ページに載っています。

"Funny Face"

VERSE 1
JIMMY:        Frankie, dear, your birthday gift reveals to me    1
              That at heart you're really not so bad.
              If I add, your funny face appeals to me,
              Please don't think I've suddenly gone mad.
              You have all the qualities of Peter Pan;                5
              I'd go far before I'd find a sweeter pan.
              And yet

REFRAIN 1
              I love your funny face,
              Your sunny, funny face;
              For you're a cutie                       10
              With more than beauty;
              You've got a lot
              Of personality N. T.
              A thousand laughs I've found
              In having you around.                15
              Though you're no Gloria Swanson,
              For worlds I'd not replace
              Your sunny, funny face.

VERSE 2
FRANKIE:        Needn't tell me that I'm not so pretty, dear,
              When my looking glass and I agree.          20
              In the contest at Atlantic City, dear,
              Miss America I'd never be.
              Truth to tell, though, you're not such a lot yourself;
              As a Paul Swan, you are not so hot yourself.
              And yet                                              25

REFRAIN 2
              I love your funny face,
              Your sunny, funny face.
              You can't repair it,
              So I declare it
              Is quite all right―              30
JIMMY:        Like Ronald Colman?
FRANKIE:        So's your ol' man!
              Yet it's very clear,
              I'm glad when you are near.
              Though you're no Handsome Harry   35
              For worlds I'd not replace
              Your sunny, funny face.

REFRAIN 3
FRANKIE:      I love that funny face,
              That sunny, funny face.
              Though it upsets one,       40
              In time, it gets one― 
              That's true, for you
              Have personality for two.
              Those eyes!  Those nose!  Those cheeks!
              Won't make a movie sheik,         45
              But though you're no patootie,
              For worlds I'd not replace
              Your sunny, funny face.

EXTRA CHORUS
FRANKIE:     [to dog] I love your funny face,
              Your sunny, funny face.         50
              You never bother
              About your father.
              Have you no shame?
              You're just a mutt and nothing but!
              Yet when you wag your tail,         55
              You'll never be for sale.
              Though you're no Rin Tin Tin, dear,
              For worlds I'd not replace
              Your sunny, funny face.

    語注をつけます(この曲については訳がでまわっておらぬようで、自信ないす)。

5行目のPeter Panと韻を踏んでいる6行目のpan: なんだかわからないけれど "face" の意味にとっておきます。
13行目の personality N.T.: 辞書に容易に見つかりませんが、「パーソナリティー心理学」における人格の類型でまずNとSに人は二分され、Nは思考型で客観的な習慣と感情を特徴とするタイプ(Sは知覚に軸があるタイプ)、さらにNTは科学者やエンジニアといった類型のようです。(Cf. "Personality psychology" wikipedia <https://secure.wikimedia.org/wikipedia/en/wiki/Personality_psychology> 日本語版「人格心理学」は書きかけ項目)
16行目: Gloria Swanson はサイレント時代のハリウッドを代表するアメリカの映画女優 (1899-1983)。


GloriaSwanson.jpg

  Gloria Swanson in Teddy at the Throttle (1917)

paulGreatest_dancer_swan_copy.jpg

24行目: Paul Swan は「the most beautiful man in the world 世界で最も美しい男」と言われたアメリカのダンサー (1883-1972)。
31行目のLike Ronald Coleman?: Ronald Coleman (1891-1958) は英国の俳優で、1920年代後半はたいへん活躍していた頃。なんでここに出てくるのかわからないが、ol' man と韻を踏む言葉として選ばれたことのほかに、コールマンは第一次大戦で爆弾の破片を片脚に受けており、舞台に復帰後に、その不自由になった脚を隠して演技し続けたということと "repair" できないけれど "quite all right" というセリフがかかわるのかもしれない(わからない)。

写真

35行目の Handsome Harry: 普通名詞 (handsome Harry) としては北米原産のノボタン科の多年草だが、ここでは禁酒法時代のアメリカのギャング、Harry Pierpont (1902-34)のことだろうか?? (彼の綽名)。 <https://secure.wikimedia.org/wikipedia/en/wiki/Harry_Pierpont> なんか違う気がする。

RudolfValentino_SonoftheSheik.jpg

Rudolf Valentino and Vilma Banky in Son of the Sheik (1926)

45行目のsheik: 「シーク」または「シェイク」という発音(ここでは前者の発音だったでしょうが)。もともとはアラビア語で "old man" の意味。英語としては女の目から見て魅力のある男、色男のことだが、英国の女性作家E. M. Hull の小説 The Sheik (1921) の映画化(1926年には続編 Son of the Sheik)で主演した Rudolf Valentino のSheik Ahmed Ben Hassan のイメジ。
46行目 patootie: アメリカの俗語。「恋人」「かわいこちゃん」
57行目 Rin Tin Tin: リンチンチン (1916-32) 第一次大戦時に、ドイツ軍の放棄された塹壕で拾われ、ハリウッド映画に出てスターになったジャーマンシェパード犬。 Rin Tin Tin Official Site: Rin Tin Tin ~ The World's Most Famous German Shpherd Dog 〔クリック注意 "I Wish I Had a Dog Like Rin Tin Tin" の曲が流れます〕

   "'S Wonderful" への言及にまでいたっていませんが、長くなったので一息つきます。1927年のミュージカルの30年後の1957年の映画Funny Face から、フレッド・アステアがひとりで歌う "Funny Face" をどうぞ――


" Fred Astaire - I Love Your Funny Face " (3:46) posted by "MzBberry" on August 3, 2008: "All the pictures that are in this video are from the movie: Funny Face.

enjoy!"

   字幕(?) 付きです。ちょっと歌詞が不正確なところもありますが。しかし、もともと最初のFrankie → Frankly から書き換えが行なわれていることがわかると思います。

  このシーンを含む映像は " I Love Your Funny Face Audrey " (5:15) posted by "omarov" on July 28, 2008 〔2分くらいから〕.

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IBDB: Internet Broadway Database <http://www.ibdb.com/index.php> 〔"IBDB (Internet Broadway Database) archive is the official database for Broadway theatre information. IBDB provides records of productions from the beginnings of New York theatre until today."〕

Google ブック検索 <http://books.google.com/>

「Google Book Search日本版「Google ブック検索」、日本ではどう動くか」 <http://journal.mycom.co.jp/news/2006/05/12/360.html> 〔マイコミジャーナル 2006.5.12〕

「Google ブック検索について」 <http://books.google.com/intl/ja/googlebooks/about.html> 〔日本版 Google による概要説明ページ〕


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October 19 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット II ――ミュージカルの歌詞というもの(下の2)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (5)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (5) [歌・詩]

October 20, 2008 (Monday)

FunnyFace(1927).jpg

Fred Astaire and the Boys (上) Fred Astaire and Dora, June, Frankie (下)

October 8, 19 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット I ――ミュージカルの歌詞というもの(下の1)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (4)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (4)

のつづきです。

   実はミュージカルのタイトル曲となった "Funny Face" にはフィナーレ・ウルティモの歌詞が2ヴァージョンあるのです。が、それはプロットがわかったあとにとっておくことにします。

   自分を育ててくれた(と思われる)義父の3人の娘の後見人となって同じ家に住んでいるのがジミー・リーヴズ(フレッド・アステア)でした。もともと虚言癖のある娘フランキーは日記にジミーを中傷することを書いたため没収されてしまう。それを返してもらおうという下心をもってフランキーはジミーに対しているので、 その二人のやりとりが内容になっている "Funny Face" は、ストレートな恋の歌という感じがしません。ふたりして互いに「あなたのおかしな〔おもろい〕顔が好き」と言いあっている(笑)。ただ、プロットに直接かかわるのはジミー のverse の冒頭の "Frankie, dear, your birthday gift reveals to me / That at heart you're really not so bad." (フランキー、君の誕生日プレゼントでわかったけど、ほんとのところ君は実はそんなに悪い娘じゃないかもしれない)ぐらいかもしれない。続く "If I add, your funny face appeals to me, / Please don't think I've suddenly gone mad." (ついでにいうと、君のおかしな顔にぼくは魅力を感じている。突然おかしくなったなんて思わないでほしいけど)によって詞の世界が広がる(笑)わけですけれど。実際、ジミーとフランキーが恋をしたっておかしくはない世界なのでしょう。

  さて、そのあとジミーは友人たちに、女の子の扱いは気をつけるべしと忠告します。それが "High Hat" という歌です〔Fred Astaire and "boys"〕。この曲はフレッド・アステアの初めてのシルクハットに燕尾服のいでたちでのパフォーマンスだったということになっています。アステアの "Top Hat" という曲のほうが有名かも知れず、WEBの映像ではそちらしか見つかりませんでしたが、言葉としては、high hat はtop hat と同じシルクハットの意味を持つと同時に、比喩的に「高慢な(やつ)」、"high-hat" として動詞で「見下す」「鼻であしらう」「気取る」「お高くかまえる」、形容詞で「お高くかまえた」「こうまんちきな」「しゃれた」、名詞で「気取り屋」「俗物」というような意味があります。たとえばget high-hat で「気取る」「お高く構える」。(あ、あとシンバルの二つ重ねもhigh hat なので、映像については検索がわやです)。verse はジミーの "When a fellow feels he's got to win a girlie's handie, / He will send her loads of flowers, books, and tons of candy."(女の子の手をニギニギしたいと思えば、たくさんの花や本、いっぱいのキャンディーを送るだろう)で始まり、Boys が "The overhead is big; / Oh, how they make us dig!" 〔overhead (間接)経費というような意味ですが、頭や帽子と縁語になっている〕と応答し、ジミーは "No use stepping out that way―The thing to do is lay low. / You can't win by treating her as if she wore a halo" 〔step out は「威勢よくふるまう」「社交にふける」。The thing は大事なこと。lay low は多義的ななイディオムですれど、ここではおそらく「やっつける」「打ちのめす」というような感じでしょうか〕と答える。 "What is your solution? / Tell us if you can." (解決策はなに? 僕たちに教えてください)というboys に対してジミーが "Here's my contribution / To Man:" (これが男性に対するぼくの寄与だ)といって始まるのがrefrain です。

High hat!
You've got to treat them high hat!
Don't let them know that you care;
But act like a Frigidaire.
You'll win them like that!
Stand pat!
Put on your gayest cravat,
But keep your feet on the ground.
Oh boy!  How they'll come around!
Just treat them high hat!

ピアニストでcabaret singer として有名なBobby Short (Robert Waltrip "Bobby" Short, 1924 – 2005: Cf. Wikipedia)の歌唱の試聴(リフレインの4行目からしか聞こえませんが)――・High Hat (2006 Remastered LP Version)試聴 cf. New York Times の記事――"CABARET REVIEW; Bobby Short, Displaying A Little Bit Of Soul" (2004.5.6).

BobbyShort.jpg

Bobby Short, Bobby Short Is K-RA-ZY for Gershwin (1973, Atlantic; 2006 Remasterd)

  ここで、タイトルの "high hat" が初めて出てきて、それは女の子を "high hat" に扱え、というアドバイスなのでした。まあ、よくいえばクールに扱え、という感じでしょうか。リフレイン4行目のFrigidaire は1919年(発明は1916年)以来のアメリカの電気冷蔵庫フリジデアーの商標名、会社名(語源的にはfrigid + air)(Cf. Wikipedia)。 5行目の "Stand pat" はカードゲーム(ポーカーなど)で手を変えないというところから比喩的に「方針や決意を固守する」という意味のアメリカ英語(standpatterというと現状維持派、改革反対保守派です)。

    それにしても、3行目の "Don't let them know that you care" (彼女たちに好きだとわからせないようにしろ)というのは、このあとの "'S Wonderful" の "'S wonderful!  'S marvelous― / You should care for me!" と響きあうことになるのですかね。舞台上では。

  またここで一服入れます。ちょっと唐突に第一次大戦後の1920年代のフラッパーの映像。女の子とつきあうには金がかかるというのは必ずしも太古の昔からそうであったわけではなく、フィッツジェラルドなどを思い出したりもし。というだけでなくFunny Face の3人の娘はフラッパーに設定されているようなのでした。


" Flappers - The Roaring Twenties " (6:24) posted by "Aaron1912" on May 8, 2007

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October 20 姉と弟、アデルとフレッド Adele and Fred Astaire, Sister and Brother [歌・詩]

October 20, 2008 (Monday)

    以下の写真のいくつかはクリックで拡大です。

Sincerely,AdeleAstaire_.jpg

  Sincerely, Adele Astaire (1896-1981)

    ガーシュウィン兄弟がアステア姉弟のミュージカルを手がけるのは1927年発表のFunny Face Lady, Be Good (1924) に続いて2度目でした。たいへんな苦労をして書き直しを行なった『ファニー・フェース』は成功し、ブロードウェーで244回の公演を重ね、翌年11月からは、9月からのリヴァプールでのtryout ののちにロンドン公演を行なっています。このときピーター役のAllen Kearns も含めて、アステア姉弟以外の俳優は入れ替わっています。逆に言うとミュージカルの中心はアステア姉弟なのでした。

PlayPictorial291(June1926).jpgPlayPictorial324(March1929).jpg

 雑誌The Play Pictorial

  実は1928年にハリウッドはアステア姉弟をそのまま出演させて『ファニー・フェース』の映画化の計画を立てました。 しかし実現しませんでした。もし実現していれば、アデル・アステアがブロードウェイの役柄をそのままに出演する唯一の映画となっていたでしょう。アデルは、やはり弟のフレッドと共演した、1931年6月から翌年1月までのブロードウェイ・ミュージカルThe Band Wagon (IBDBデータ)の舞台(260回公演)成功後の1932年5月に、英国の貴族チャールズ・アーサー・フランシス・キャヴェンディッシュと結婚して芸能界から引退してしまいます。

Adele&Fred-The_Band_Wagon.jpg

  アデルとフレッド姉弟は、アメリカ合衆国ネブラスカ州のOmaha で生まれました。1896年9月10日生まれの姉は幼名Adele Marie Austerlitz、 1899年5月10日生まれの弟は Frederick Austerlitz。ドイツ系移民の2代目でした(生年月日については諸説あったようですが、英語版Wikipediaのソースを信じれば年齢は3つ離れています)。母親Ann [Joanna] Gelius (1878 - 1975まで長生きしたようです)はアメリカ生まれですがルター(ルーテル)派のドイツ系移民の家系、父親Frederic (1868 年リンツ生まれ- 1924 Frederick [Friedrich Emanuel] Austerlitz)はユダヤ人の血を引くカトリックのドイツ系移民であったようです。宗教的には複雑にも見えますが1910年代に一家でプロテスタントのEpiscopalian に改宗というか、しています。親は幼い娘アデルの舞踊の才能に驚き、弟と一緒に "brother-and-sister act" (当時ヴォードヴィルではやっていたらしい)をさせることを夢見ます(田舎のオマハから脱出したかったみたい)。フレッド・アステアは最初いやがってましたが、やがて姉のステップをまねし、ピアノやアコーディオンやクラリネットなど楽器も演奏するようになる。父親が失業し、一家はニューヨーク市に出てきて、姉弟のショービジネスをはじめる。こうしてAstaire に名を変え"Juvenile Artists Presenting an Electric Musical Toe-Dancing Novelty" と銘打って1905年にヴォードヴィルで出演し、評判を得ます。

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  1906年ごろのAdele と Fred。あ、このときにすでにトップ・ハットをかぶっていたのね、フレッドは(w)。

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   via "History Fred Astaire" <http://www.fadi.com/history_fred_astaire.htm>

  まもなく父親の売り込みで、 Orpheum Circuitにのっかり、全米を巡演して人気を博す。幼い姉弟は一種のライバル心をもちながら切磋琢磨したようです。やがてアデルの背が伸びて、少なくとも3インチ以上弟より高くなってしまい、バランスが取れなくなったらしい。2年間ショービジネスから身を引くことを一家は考えます(これにはchild labor を問題にして児童を保護する法律や協会(New York Society for the Prevention of Cruelty to Children = NYSPCC = Gerry Society)への対応ということもあったようです)。

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   少女時代のAdele via "Adele Astaire - 'Cavendish'" Dancer History Archives by StreetSwing.com <http://www.streetswing.com/histmai2/d2astadl1.htm>

    復帰したとき、ふたりは新たにタップダンスの技を学んで身につけていました。のちにフレッド・アステアは世界最高のタップダンサーと呼ばれるようになるわけです。

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  そして1916年、フレッド・アステアはティンパンアレーで働いていたジョージ・ガーシュウィンと偶然に出会います。 この邂逅はその後のふたりに大きな影響を与えるものでした。

   1917年のOver the Top からブロードウェイのショーに進出。研究者の説だと1920年ごろには弟の舞踊の技が姉を超えつつあったのだそうですが、舞台上ではパートナーを支えるフレッドの力とアデル自身の華やかさによってアデルが主導であり、一般の人気もアデルが高かったようです(このへん、つーかこの前後も英語版WikipediaのFred Astaire の記事のほうなどの適当な引きうつしです)。ともかく現役時代はアデルのほうがビッグだったと一般に言われておる。

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  Adele と Fred (1919年) 

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  Adele と Fred (1921年)

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  Adele と Fred (1921年)

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 Stop Flirting (1923) たぶん初のロンドン公演時のブロマイド写真  いつのまにか弟は姉よりずっと背が高くなっており。

     そして、1924年、Lady, Be Good でガーシュウィン兄弟とアステア姉弟は仕事をします(IBDB データ)。New York のLiberty Theatre で12月1日から翌1925年9月12日まで。 舞台の写真(クリックで拡大)。ただ、この記事自体はイギリスの Empire Theatre での公演についてのものです――

TheAstairesinLadyBeGood.jpg

  クリックで拡大ですが、キャプションを書きとっておきます。その前にまず見出しは "THE RETURN OF THE ASTAIRES.: A Feast of Dancing by the Two Astaires in "Lady, Be Good," at the Empire Theatre"  左上―"LEFT OUT IN THE RAIN―FRED AND ADELE ASTAIRE ARE TURNED OUT OF THEIR HOME AT "BEACON HILL, RL"  右上―"THE INIMITABLE ASTAIRES, FULL OF FUNNY GESTURES AND MANNERISMS IN ANOTHER OF THEIR AMUSING SCENES"  左下―"MISS ADELE ASTAIRE WITH HER DANGEROUS 'PUG'"  右下―"THE 'SPANISH WIDOW FROM MEXICO' WITH JEFF (MR. BUDDY LEE)  そして下の記事―"After a long period of depression, during which it was given over to films, serious drama, and other purposes for which it was never intended, the Empire Theatre has now recovered all its old vivacity.  The two miracle-workers are Fred and Adèle [èアクサンがついています。なんかフランス風な感じ?] Astaire, the young Americans who first took London by storm in Stop Flirting.  In their new play, Lady, Be Good, they are repeating the success they achieved in thier first London appearance.  The critics all agree that there is very little story in the play, very little form―yet all London is flocking to the Empire!  The secret lies, of course, in the personality of the two principals, the over-fresh, ever-vivacious Astaires.  Lady, Be Good is in reality 'a dancing riot,' as one critic has termed it.  Throughout the evening their dance numbers rouse the audience to heights of enthusiasm and amusement rearely achieved on the stage.  The four pictures we give above, taken from the play, show these two skilful artists in a few of their very quaint scenes."

  右上の写真のキャプションに "funny gestures and mannerisms" というフレーズがあるけれど、アデルのひとつの特徴は彼女のユーモアでした。

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  Adele と Fred (1926年)

    そして1927年のFunny Face。フレッドは恩人の娘3人の保護者になっているジミー役。アデルはその3姉妹のひとりで、ジミーに誤解されるけれども飛行士ピーターとの結婚を許されるフラッパーの役。

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  雑誌 Vanity Fair, October 1928

   Funny Face の舞台が終わった1928年にフレッド(とたぶんアデルも)はハリウッドに行きパラマウントスタジオでスクリーンテストを受けますが、映画に向かない、と判断されてしまったようです。 そして1932年、姉はイギリス貴族と結婚(かねて英国王室からアデルは愛でられていたようです)。 フレッドには衝撃でしたが、幅を広げる機会でもあった。このころミュージカルの Gay Divorce のために新たなパートナーを組んで、挿入歌のCole Porter の "Night and Day" を練習しているときに相方の女優のClaire Luce から、"Come on, Fred, I'm not your sister, you know." (「さあ、ほら、フレッド。わたしはあなたのお姉さんじゃないのよ」)と言われたというエピソードが残っています。これはルースのほうの回想であり、もっとロマンティックなアプローチをして、という叱咤激励だったのだそうですが、なかなか複雑な感じがします(わたしだけ~?)。

FredAstaire&ClaireLuce,TheGayDivorce.jpg Fred Astaire and Claire Luce in The Gay Divorce

  ダンスのパートナーというと名嘉智子の長篇漫画『パートナー』を思い出すのですが、月並みな言い方をすると一心同体みたいなところあるし。

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Adele as Lady Cavendish with Lord Cavendish (1932)

  あ、そうそう、フレッドは姉の後を追うように、というのもヘンですが(ツキモノが取れたようにというともっとヘンですが)、1933年に結婚しちゃいます。

  ともあれ、フレッド・アステアは1933年には映画界にも進出し、このGay Divorce の映画化 (1934)――そのころには有名なGinger Rogers とのコンビがつくられています――もヒットして、新進女優のオードリ・ヘップバーンと共演した1957年のFunny Face のころまでは、だいたい1年に1本は映画に出演しています。

   英語版のWikipedia の "Adele Astaire" を読むと、弟がハリウッドで成功したあとアデルは、 1935年にミュージカル映画を作ることを真剣に考えた、と書かれています。そして1936年1月にハリウッドを訪れ "Music Variety Show" に出演するのですが、弟の名声に委縮している感じがすると認める発言を残しているそうです。思うに、1935年というのは双子の赤ちゃんが出産後数日で亡くなってしまった年です。1933年には女児がやはり生まれてすぐに亡くなっています。そういう家庭での不幸と復帰の思いは無関係ではなかっただろうと想像されます。(年下の夫のチャールズは病弱(か病気持ちで)、1944年に亡くなってしまう。) そして1937年――

Adele began filming in England with Jack Buchanan and Maurice Chevalier, but withdrew after two days. She later recalled: "Oh boy, if my brother Fred sees this―I'm gone".  There is no known film record of Adele performing (aside from a clip lasting a few seconds), but she made eight recordings, all duets with Fred." <https://secure.wikimedia.org/wikipedia/en/wiki/Adele_Astaire>

   イギリスで映画の撮影を始めますが、2日で退いてしまう。のちの回想では「弟のフレッドがこれを見たら――あたし死んじゃうわ」。こうして、アデルの映像は、ごく短いビデオクリップをのぞけば、存在していません。

    そして、アデルは8本の録音を残しています。実はいずれも弟のフレッドとのもので、そのうちの7つを編集したものを見つけたので、ちょっと脱線してこの記事を書いた次第です。

 " FRED & ADEL ASTAIRE: A JAUNTY PAIR EXTRAORDINAIRE " (6:10) posted by "northbreed1" on September 16, 2008: "Featuring piano playing by George Gershwin himself.
Cameo appearances by Abraham Lincoln (as himself) and Ursula Andress (as the Swiss Miss).

Adele Astaire (1896-1981)
Fred Astaire (1899-1987)

A sibling pair from Omaha, Nebraska, who made good in vaudeville and in major musical revues and productions on Broadway and in Londons West End.

Song Excerpts:
1) Stage patter intro to "Oh, Gee! Oh, Gosh!"—recorded October 1923 in the United Kingdom.
2) "Hang On To Me"—recorded April 1926 in London, England.
3) "Fascinating Rhythm"—recorded April 1926 in London, England.
4) "I'd Rather Charleston"—recorded April 1926 in London, England.
5) "Swiss Miss"—recorded April 1926 in London, England.
6) "Funny Face"—recorded November 1928 in London, England.
7) "The Babbit and the Bromide"—recorded November 1928 in London, England.
--Selection numbers 2, 3, and 4 feature piano accompaniment by George Gershwin.
--Selection number 4 features photographic accompaniment by United States President Abraham Lincoln, visiting a Civil War camp in 1862.
--Selection number 5 features additional photographic accompaniment by my kind of (non-cocoa) Swiss Miss: model/actress Ursula Andress (born in Ostermundigen, Berne, Switzerland in 1936.)

Questions or comments are sincerely welcome. Lewd, derogatory, or irrational comments will be pelted, alternately, with tomatoes and cabbages.

Thanks for viewing, mesdames et messieurs.

Support the work/legacy of Fred Astaire: rent or buy and view his movies; borrow or purchase and listen to his music."

 

  (6) の "Funny Face" では確かに "personality N.T." と歌っています(ただしJimmy と Frankie のパートが微妙に違う)。

Adele&Fred_vanity-fair.jpg225px-Adele_Astaire_in_1919.jpg

 

 


"Fred and Adele Astaire" Broadway: The American Musical. Stars OVer Broadway <http://www.pbs.org/wnet/broadway/stars/astaire_f.html> 〔ひとつ違いの姉弟にしている〕

"Adele Astaire - 'Cavendish'" Dancer History Archives by StreetSwing.com <http://www.streetswing.com/histmai2/d2astadl1.htm>

"History Fred Astaire" Fred Astaire Dance International <http://www.fadi.com/history_fred_astaire.htm>

"Adele Astaire" Wikipedia <https://secure.wikimedia.org/wikipedia/en/wiki/Adele_Astaire>

「フレッド・アステア」 Wikipedia 〔Adeleの発音はアデールではなくて アデル、上のどこかのページの表記を借りれば [uhDell]だと思います〕

 

"Geroge Eastman House Nickolas Muray - Strip 19 Series" <http://www.geh.org/ar/strip19/htmlsrc/muray_sum00027.html#77:0695:0115> 〔1920年代と思われるAdele の写真3葉〕

 

カリフォルニア時間2008年10月22日11時追記。ちょっと画像を追加しました。


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October 21 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット III ――ミュージカルの歌詞というもの(下の3)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (6)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (6) [歌・詩]

October 21, 2008 (Tuesday)

funnyface.jpg Funny Face (1957)

これまでの流れ――

September 15 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1)にはじまる September 26 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1 1/3)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1 1/3) の3分の1つづきのSeptember 27 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1 2/3)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1 2/3)の3分の1つづきのOctober 3, September 30 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (2)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (2)のつづきの October 4 ミュージカルの歌詞というもの(上)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (3)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (3) のつづきのOctober 8, 19 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット I ――ミュージカルの歌詞というもの(下の1)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (4)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (4)のつづきの October 20 『ファニー・フェース』 (1927) のプロット II ――ミュージカルの歌詞というもの(下の2)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (5)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (5)

のつづきです。 

FunnyFace(1927).jpg Funny Face (1927)

    フランキー(Adele Astaire) は有名な飛行機乗りである知り合い(であり憧れの対象であるらしい)Peter Thurston ピーター・サーストン(Allen Kearns) に、その夜(保護者のジミーの誕生日パーティーの夜です)部屋に忍び入って金庫から日記の入った封筒を盗みだしてもらうように説き伏せます。署名を強制された書類が入っているのだ、と得意のウソをついて。このかんにふたりは急速に親密になる["He Loves and She Loves"――フランキーとピーターの歌――実は、ややこしいことにComplete Lyrics はここに "'S Wonderful" を置いているのですが、別の資料の推測に従います。ついでながら、tryout ではここに "How Long Has This Been Going On?" が置かれていたと考えられます]。"He Loves and She Loves" はプレ・ブロードウェイのtryout の最終週、つまりWilmingtonで付け加えられた曲です。この曲は、前に書いたように、ロンドン公演では "Imagination" というJoseph Meyer と Roger Wolfe Kahn の曲に勝手に変わっちゃうのですけれど、トリもハチもみんな恋してるんだから私たちも恋しましょ、みたいな脳天気な、そういう意味で恋の始まりの歌ですから、やっぱここでしょう。ただ、verse 1 の "[Peter:] If the human race is / Full of happy faces― /[Frankie:] It's because they all love / That wondrous thing they call love." と verse 2 の冒頭の "[Frankie:] Feel a funny feeling" そして最後の "[Peter:] From now on, we're in clover" という歌詞は、一方で "funny face" と響き合い、もう一方で "'S Wonderful" の歌詞と響き合っているように思われます。

  さて、いっぽう、ジミーはドーラのネックレスを封筒に入れて同じ金庫に入れる。 泥棒Chester チェスター(Earl Hampton) とそのヘマな相棒Herbert ハーバート (Victor Moore―役者としてはこっちのほうが上です) が屋敷に侵入して金庫から日記の入ったほうの封筒を盗んで逃げる。いっぽうフランキーがジミーの気をそらしているあいだに["Let's Kiss and Make Up"――フランキーとジミー(とアンサンブル)の歌]、ピーターとダグシーはブレスレットの入ったほうの封筒を盗みだす。(このあとにComplete Lyrics は使われなかった曲 (Unused) として"Come! Come! Come Closer!" というタイトルの歌を入れています、歌詞には"Let's kiss and make up" というフレーズがあり、"Let's Kiss and Make Up"に入れ替わったというか発展したと〈少なくとも歌詞的には)思われる曲です。) そうして第1幕のフィナーレ "Final, Act 1"。別のタイトルが "Come Along, Let's Gamble" で、どうやらバースデー・パーテーの客たちがバクチに走る歌・・・・・・"Come along, let's gamble, / Gamble on the wheel. / Losing, winning, / When it's spinning, / What a thrill you feel!" とテレビ番組の Wheel of Fortune を思わせるような出だしで、主要な役者(principals) が総出演で、部分的にgirls と boys に分かれて対話をする、全40行のセリフ&歌詞でしたが、プレ・ブロードウェイの地方公演tryout で削られていき、最後の8行だけがニューヨークとロンドン公演で使われたのでした。―― "[Ensemble:] Good heavens!  They're gone! / Good heavens!  They're gone! / What an awful mess / Make 'em both confess! / Judging by their looks, / They must be the crooks! / Call the police! / Call the police!" という、ほとんど面白みの感じられぬ部分です。crooks というのはほんとうの泥棒のハーバートとチェスターの2人を指していると思われますが、あるいはピーターとダグシーを(も)指しているのか、もしれません。

  第2幕はニュージャージー州のWapatog 湖畔のCanal Inn における "swim party" で始まります["In the Swim" 女声アンサンブル。別題 "If You Will Take Our Tip"。これは以前のOh, Kay! で使われなかった "The Moon Is on the Sea" を再利用したもの]。 2人組泥棒団と警察の双方に追われるピーター、フランキー、ダグシーは、それぞれ病人、ナース、医者に変装しています。ピーターとフランキーの恋心は高まり["'S Wonderful]、いっぽう医者に扮したダグシーは女の子たちにちょっかいを出す["Tell the Doc"]。浮ついたダグシーと女性たちの歌 "Tell the Doc" は、まあ歌詞を読む限りは滑稽な歌ですが、歌いだしが "I'm a physician whose mission you know― / Deals with the subject of dreams. / I'll burst your troubles like bubbles, for Oh! / No dream is just what it seems. / Bring your dreams to me and I assure you / I'll interprete them―That's how I'll cure you." とフロイト的夢判断的というか夢を解釈する精神科医としてあらわれているところが、時代を反映しているかもしれません。

  ダグシーのガールフレンドだったはずのドーラがピーターに結婚してと迫り、脅迫する(たぶん盗みの件で)。ジミーはもう一人の娘のジューンへの愛を確信する["What Am I Going to Do" ("My One and Only") 歌はジミーとジューン]。ピーターが所有する宝石(ブレスレット)を警察が発見したあと、フランキーは、その朝ピーターと結婚したと嘘の発表をしてドーラの計画をくじく。

  結婚したふりをしてフランキーとピーターはアトランティック・シティーのPaymore Hotel に到着。あとから武器を持った泥棒2人組、ジミー、ダグシー、警察が到着。ホテルの一室に全員が集まって混沌状態。警察署は騒乱鎮圧の部隊を派遣するが、着いてみるとパーティーが開かれている。おそらくここで"Blue Hullabaloo" という、ブロードウェイ前のtryoutで加えられ、ブロードウェイでもまもなく落とされてロンドン公演でも使われなかった曲が歌われた(歌はドーラとジューン)。

  Two Million Dollar Pier という埠頭で、ジミーはフランキーと向かいあう。フランキーは、自分は結婚していない、しかしピーターと婚約しただけだと説明する。ジミーの非難に対してフランキーは "stark staring mad" に怒り、反問する―― "Why not?  Everybody is a cuckoo, these days.  The dumber you talk, the more intelligent everyone thinks you are" ["The Babbitt and the Bromide" ジミーとフランキーの歌。tryoutの最終週にフレッド・アステアの "Nut Dance" (ジョージ・ガーシュウィン作曲のインストゥルメンタル)に替えて入れられた]。 ダグシーとドーラはヨリを戻し、ジミーは泥棒チェスターとハーバートから日記を受け取って告訴を取り下げ、フランキーとピーターの結婚を許す["Finale Ultimo": たぶん2曲で "'S Wonderful""Funny Face"]。

  "'S Wonderful" のフィナーレ・ウルティモで歌われたヴァージョン――

FRANKIE: 'S wonderful!
   PETER: 'S marvelous―
    BOTH:  City hall's in view.
FRANKIE:  'S marriage licence.
   PETER:  'S Niag'ra Falls.
    BOTH:  'S 'appiness for two!
 DUGSIE:   You've made my life so ting-a-lish;
                I'll even overlook your Eng-a-lish.
   JIMMY:   Oh, wedding bells fill the air
                Now that I know you care. 

   "Funny Face" のフィナーレ・ウルティモでのヴァージョンと、さらにその初期のヴァージョン――

Version sung in "Finale Ultimo"
    PETER:  I love your funny face―
FRANKIE: Your sunny, funny face―
    PETER: The news I'm spreading
              About our wedding―
[Enter Dugsie and Dora]
  DUGSIE:  My heart's enlarged
              I'll buy a home and have it charged. 
[Enter Jimmy and June]
    JIMMY: Trouble takes the air;
              We'll be a happy pair.
[Enter Chester and Herbert]
HERBERT: We thank you for our freedom.
               You've saived us from disgrace.
               We love your funny face.

 

Earlier Version of "Finale Ultimo"
     PETER: I love your funny face―
FRANKIE: Your sunny, funny face―
     PETER: The news I'm spreading
              About our wedding―
[Enter Dugsie and Dora]
  DUGSIE:  I feel so tinglish,
               I'll even overlook your English. 
[Enter Jimmy and June]
     JIMMY: Trouble takes the air;
               We'll be a happy pair.
[Enter Chester and other crook]
 CHESTER: For twenty years at Sing Sing,
                My cell I'll have to pace
                And love your funny face.

    "Funny Face" の初期のヴァージョンのほうではダグシー(3人娘のうちのドーラの恋人だけど医者役になって浮気心を出し、それでドーラはピーターに近づくけれども、最後には縒りがもどって結ばれる、その男です)が "I feel so tinglish" と言い(tinglish はリーダーズなどの英和辞典に載っておらず、造語かと思いましたが、OED を引くと載っていました。tingle + ishで "Characterized by tingling, quivering."  用例は1855年の英国の詩人Robert Browning の "For them the panels may thrill, The tempera grow alive and tinglish." の1例だけですが)。「ジンジンする」(山本リンダふう)、「ワクワクする」(中山美穂ふう)、「ゾクゾクする」というような意味だと思います。で、これが捨てられて上のヴァージョンにとってかわり、いっぽうで、"'S Wonderful" のフィナーレ・ウルティモ版に、同じダグシーの歌詞として "You've made my life so ting-a-lish; /  I'll even overlook your Eng-a-lish." が現われます。ここで "you" はやっぱりドーラでしょう。で、ドーラという人がどんな娘なのかよくわからんのだけれど、おそらく孤児であったジミーを引きとって育ててくれた人の実の娘の3姉妹ということだから、フランス人ということはないのだと思われます。ただ、たぶん言葉づかいが悪いとかぐらいかと(tinga-a-lish やEng-a-lishのほうがよっぽどなまっていると思いますが)。あるいは、"'S Wonderful" の女声のverse のフランキーの言葉に典型的に現われているような語尾を略してしまうフラッパーの言葉づかいをドーラも共有しているのかもしれません。

  しかしまた、"'S Wonderful" のほうの "You've made my life so ting-a-lish; / I'll even overlook your Eng-a-lish." は、ドーラの登場が指示されておらず、かつその直前のピーターとフランキーの "'S Niag'ra Falls." "'S 'appiness for two!" といった音の脱落、とりわけhappiness の h 音が(フランス人風に?)落ちているところを見ると、そのふたりの英語へのダグシーの応答と考えるべきなのかも知れません。あ、もしかしてピーターってフランス人なのかしら??  それなら腑(ふ)に落ちる。――いや、それはないですね。それでは全体が不自然になる。"'S Wonderful" みたいな音の脱落がついうつっちゃったのを指摘しているととるのが妥当な気がする。

  いずれにしても、映画『巴里のアメリカ人』の男二人のアメリカ人とフランス人の英語・仏語のかけあいというのとは状況は違うのだけれども、確かに同じ歌詞が1927年の時点で書かれていたということも事実なわけです(このへん「October 4 ミュージカルの歌詞というもの(上)――アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (3)  On Musical Lyrics: " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (3)」 で問題にしたことへのひとつの回答です)。

  もうちょっと細かいことと全体的なことを次回に書くつもりです。

  それでは、先月投稿されたばかりのオードリ・ヘップバーンとフレッド・アステアの「ス・ワンダフル」をどうぞ。――


" Audrey Hepburn & Fred Astaire - 'S Wonderful " (2:18) posted by "VaivaU" on September 26, 2008

 


"A Hypermedia Edition of Robert Browning's Old Pictures in Florence" <http://faculty.stonehill.edu/geverett/rb/oldpix.htm> にほん

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2009年初夏日本にて

 その後、メイポールやルネサンスフェアのほうへ話が広がってしまい、ミュージカルの歌詞についてなかなか書けないままに時間が過ぎ、カリフォルニアから日本へ戻りました。いちおう適当なまとめを帰国前に書いたのでしたが――「March 28-29 短い文 (ポーの『マージナリア』から) 付 ミュージカルの歌詞についての雑感 [歌・詩]


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October 22 セサミストリートのヘンな顔 "Funny Face" in Sesame Street [歌・詩]

October 22, 2008 (Wednesday)

   有名な教育番組『セサミストリート』 (いま日本語のウィキペディアにリンクをはって読んでいたのですが、アメリカでの放送開始がいつなのか記述がありませんね)は1969年11月に放送が始まったアメリカの最長寿子供番組ですが、そのファーストシーズン(1969-70)でJoe Raposo ジョー・ラポソ(ラポーソ) (1937-89) がガーシュウィンの "Funny Face" を歌っていたのだそうです。ジョー・ラポソというと、カーペンターズの歌で有名な "Sing"(「シング」) (1973) をつくった人です(そしてこれはセサミ・ストリートの番組のためにつくられた歌でした)。 なんだかエラク古めかしい歌い方、というかほとんど1920年代の歌唱のように聞こえますが(まあ実際に曲はそうなんですけど)、どうぞ――

  " Sesame Street - Funny Face " (1:42) posted by " NantoVision" on August 14, 2008: "From the first season (1969-70), Joe Raposo sings George Gershwin's "Funny Face", over stock footage of various primates."

   投稿者のコメントにある"primates" というのは霊長類です。まあサルです。

  歌詞ですけれども、NT型の性格というのは昔のままで、しかし引き合いに出された俳優はモナリザやシバの女王に替わっています。ちょっと書きとってみました。

I love your funny face
Your sunny, funny face;
For you're a cutie
With more than beauty
You've got a lot of
Personality N.T.

You fill the air with smiles
For miles and miles and miles.
Though you're no Mona Lisa,
For worlds I'd not replace
Your sunny, funny face

Hmmm --funny face!
Hmmm-- funny face!
You're not exotic,
But so hypnotic.
You're much-- too much,
If you can cook
The way you look

I'd swim the ocean wide
Just to have you by my side.
Though you're no Queen of Sheba,
For worlds I'd not replace
Your sunny, funny face. 

    だいたいあってると思います。しかしこのアイデアは1927年のミュージカルでフランキーがジミーに向って「ファニー・フェース」を歌ったあと、犬に向かって歌う、エクストラの歌詞からヒントを得たのかしら。

 


 

以下はwikipa entertainment の MuppetWikiのページ

"Episode 0006" <http://muppet.wikia.com/wiki/Episode_0006> 〔1969年11月17日放送〕

"Episode 0043" <http://muppet.wikia.com/wiki/Episode_0043>  〔1970年1月7日放送。上の投稿はこのSCENE 1に見えます〕

 


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October 23 シング Sing Canta [歌・詩]

October 23, 2008 (Thursday)

    カリフォルニアは今日暑いです。ベイエリアも南カリフォルニアも昨日よりさらに4度くらい高いみたい。

   昨日から聞いていて、柄にもなく泣けてしまった曲(いや、実はそういうガラなんですけど)。


" Sesame Street - Sing " (3:14) posted by"NantoVision" on January 5, 2008: " [...] here's a true classic that many consider to be Joe Raposo's signature song. This version is from 1971, and features Bob (Bob McGrath), Luis (Emilio Delgado), Susan (Loretta Long) and some neighborhood kids."

"Sing"  words & music by Joe Raposo

Sing.  歌おう
Sing a song. 歌を歌おう
Sing out loud. 大きな声で歌おう
Sing out strong. 力強く歌おう
Sing of good things not bad. 悪いことじゃなくて良いことを歌おう
Sing of happy not sad. 悲しいことじゃなくて幸せなことを歌おう

Sing.  歌おう
Sing a song. 歌を歌おう
Make it simple to last 単純な歌にして
Your whole life long.  いのちの続くかぎりずっと
Don't worry that it's not good enough 誰かほかの人に聞かせるほど
For anyone else to hear. うまくないなんてことは気にせずに
Just sing.  Sing a song. ただ歌おう  歌を歌おう

La la la la la
La la la la la la....

Sing.  Sing a song. 歌おう
Sing a song. 歌を歌おう
Let the world sing along. 世界と一緒に歌おう
Sing of love there could be. 見つけた愛を歌おう
Sing for you and for me. あなたのため、私のために歌おう

--------------------------------------------------------------------

「Sesame Street の Joe Raposo」 <http://d.hatena.ne.jp/bacque/20080103/p1#c> 〔『絆創膏屋 - ばんそうこうや』さんの2008.1.3のブログ記事。セサミストリートにおけるジョー・ラポソの仕事のていねいな紹介〕


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October 23 Canta シング Sing (カーペンターズ) [歌・詩]

October 23, 2008 (Thursday)

    夜になっても異常に暑いカリフォルニアです。

   前の記事では「シング」の訳詞をガラにもなくしてしまい、調子が悪くなったのでそのまま投稿してしまいましたw。

    セサミストリートの Fix-it Shop のオーナーのLuis が途中からスペイン語で歌っておりました。 ルイス役の Emilio Delgado (1940 - ) は、カリフォルニア州南部の、メキシコとの国境に臨むカレキシコ Calexico という小さな(といってもAlbany よりちょっと大きいような気はする)市の出身です。〔Emilio Delgado at IMDb〕 

   で、ずれてますけどスペイン語の歌詞(カリフォルニア時間24日朝追記―訳詞・・・歌われていないところも入っている・・・あ、やっぱり訂正箇所も載せます)を載せておきます。――

Canta.
Canta una canción.
Canta en voz alto [alta].
Canta fuerte.
Canta de cosas buenas, no malos [malas],
Canta (de lo) alegre no (lo) triste.

Canta.
Canta una canción.
Que sea sencillo [Hazla sencilla]
 para durar toda la vida [que te dure toda la vida]
No te preocupes de que no está suficiente bien [que no si oiga bien]
 para que otros la escuchen, [para que otros la oigan]
Pues canta, [Canta]
Canta una canción.
 <http://www.homeschoolblogger.com/elrinconespanol/524228/>

    くどいようですが、歌をつくったJoe Raposo はポルトガル系のアメリカ人でした。でもアメリカ合衆国はスペイン系が強いです。特にアメリカ=メキシコ戦争の結果、もともともめていたテキサスに加えて、カリフォルニア、ネヴァダ、ユタ、ニューメキシコなど、いわゆる「メキシコ割譲」でごそっとアメリカがメキシコから3分の1もの領土を奪っていったわけですから(このへんは拙ブログの記事としては前に書いた「May 2 長い一日(つづき) こどもの劇をみてカリフォルニアの歴史に思いをはせるの巻」のリンクなどを参照していただけるとうれしいです)。そのとき書かなかったこととしては、1830年代からメキシコの大統領に繰り返し選ばれ、米墨戦争のときのも大統領だったひとはアントニオ・ロペス・デ・サンタ・アナAntonio López de Santa Anna, 1794 - 1876)だったということです。

  それで、また話があさっての方向へ向かっていますが、泣けたのはもちろんカーペンターズの歌にも、です。1974年の来日公演――

" Sing - [The] Carpenters " (3:30) posted by "cskwan" on May 9, 2007

   投稿者は1972年武道館、としていますが、1974年6月、子供たちはひばり児童合唱団です。ライブアルバムに入っているのは京都市少年合唱団とのもののようですが。日本語の歌詞は R. Hoshika となっていますが、たぶん星加ルミ子だと思います。星加ルミ子というのは雑誌『ミュージック・ライフ』の編集長だった人ですね。訳詞は、「声を合わせ」とか「悲しいこと忘れるため」とか「幸せが来るように」とか「恥ずかしがらず」とか、とても日本的というか日本人的心情的にアレンジしてますね。いや、いいと思います。でもたぶん元の歌は、よかれあしかれ個人主義的なというか、「個」の人生=歌、というような歌だったのだろうとは思いますけど。カーペンターズは1972年、74年、76年と来日し、76年にも「シング」を歌っているのですけれど、だいぶ日本語がうまくなってますね。で、この1974年の日本語はだいぶ英語的な発音が残っていて、かつ、ちょっと恥ずかしがっているように聞こえるところもよいです。汗かいてるところもほほえましいです。

  上でせっかくスペイン語歌詞を載せたので、スペイン語と英語のちゃんぽん版(1991年のアルバム収録)を――

 

  " [The] Carpenters - Sing (Spanish Version) " (3:29) posted by "sisterlead02" on March 3, 2008

 

-----------------------------------------------------------------------------------

"Carpenters on the Johnny Cash Show" (1971)  posted by "akindofhush" on January 6, 2008 <http://uk.youtube.com/watch?v=SQ1NtnvdlAo>

"Karen Carpenter - The Drummer" posted by "CrescentNoon" on Januay 10, 2007 <http://uk.youtube.com/watch?v=6dJUnh6N8-U>

"[The] Carpenters" <http://sound.jp/jacopas/dsccrpnt.html> 〔Musicgate.comのなかのくわしい日本語ディスコグラフィー〕


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October 24 "Sing" のスペイン語歌詞 Lyrics of "Canta," Spanish Version of "Sing" [歌・詩]

October 24, 2008 (Friday)

  イカは枝葉末節的重箱の隅突き的な内容を含んでいます。

   セサミストリートのレコードアルバム(The Official Sesame Street 2) には英語の歌に合わせてスペイン語で部分的に追いかける、というかたちで "Sing" は歌われるヴァージョンがあります――


" Sesame Street - Sing (AUDIO ONLY) " (3:00) poste by NantoVision on January 11, 2008

歌は最初に英語で通して歌い、そのあと英語とスペイン語のかけあいで、こんな感じです――

Sing (Canta)
Sing a song (Canta una canción)
Sing out loud (Canta en voz alta)
Sing out strong (Canta fuerte)
Sing of good things, not bad (Cosas buenas, no malas)
Sing of happy, not sad (Alegre, no triste)
Sing (Canta)
Sing a song (Canta una canción)
Make it simple to last your whole life long (Todo la vida)
Don't worry that it's not good enough for anyone else to hear
Sing (Canta)
Sing a song (Canta una canción) 

で、問題は、日本語歌詞だと「幸せが来るように、大きな声を出し、恥ずかしがらずに」 という子供向けになっている "Make it simple to last your whole life long / Don't worry that it's not good enough for anyone else to hear" の2行なんですが、番組内でLuis が歌うのとカーペンターズが歌うのと、違っているようなのに気がつきました(ま、いまさらなんですが)。

" Sesame Street - Sing " (3:14) <http://uk.youtube.com/watch?v=EOFY52PAPoc>

" Sing -  Carpenters " (3:30)  <http://uk.youtube.com/watch?v=rdBsbyaTRwo>

   で歌詞の検索ページとかを見ると、スペイン語も載っているのですけれど、なんかほんとに翻訳みたいな感じで、歌われている歌詞と違っています。――(A) "Carpenters Sing (Canta)" <http://www.sonidox.com/carpenters/sing>; (B) "SongsTraducidas.Com||Letra Traducida de Sing | Carpenters" <http://www.songstraducidas.com/letratraducida-Sing_3687.htm>; (C) "Letras de Canciones Traducida: Carpenters - Canta"<http://cancionestraducidas.vivelaweb.com/3/sing.htm>

  あ、文字化けしてたり大文字だったりして違っているかと思ったら3つとも同じでした(爆)。

(B) Hazlo simplemente para que dure / Para toda tu vida / No te preocupes si no le parece / Buena a los demás
Para escuchar

  セサミストリートのほうは、KathleenM さんの"El Rincón Español - homeschool Spanish support" というページでのKathleen さんとコメント投稿者のやりとりを総合すると、だいたい以下のようだというのがわかりました。――

Canta.
Canta una canción.
Canta en voz alta.
Canta fuerte.
Canta de cosas buenas, no malas.
Canta alegre, no triste.
Canta.
Canta una canción.
Hazla sencilla que te dure toda la vida.
No te preocupes que no se oiga bien para que otros la oigan.
Canta, Canta una canción.

  しかし、こうは聞こえないのがカーペンターズの"Canta"。ものすごく必死にカレン・カーペンターの歌を聞いて、

Hazla sencilla para que dure toda tu vida.

と言葉を並べてみてから(ほんとはvidaの前のtu はよくわからなかっただが、そのへんは上の翻訳からもらった)検索をかけたら、ヒットしました。Yahoo!Answers の今年の春のやりとり <http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20080512011536AA5oX4U>――

Can you help me with these lyrics?

It's from a song called "Canta" by the Carpenters. If you know it, then you probably guessed it... "Sing"! It's the Spanish version though. Karen has a hard time with the line, but with my Spanish 3 knowledge, I think I got it.

She sings "Hazla sencilla, para que dure toda tu vida." I think this means "Make it (la canción) simple so that it lasts your whole life," right? We just learned subjunctive with other phrases, and para que was one of them. Is that why durar is in the subjunctive?

Muchas gracias... ^_^
  • 5 months ago

Additional Details

5 months ago

She also sings "Cantuna canción", which struck me as weird. It know the lyrics are "Canta una canción", but I guess there was no room for "ta".
 
JJさんの回答―

Best Answer - Chosen by Asker

You're right - Hazla sencilla, para que dure toda tu vida - but it sounds awful in the Spanish version because 'vida' comes out as 'vidá'

Para que + subjunctive - spot on!

She does actually sing 'canta una canción' but the final 'a' of 'canta' is merged with the 'u' of 'una' - this is not unusual because Spanish has no glottal stops.

Note also the use of 'seseo' where the zeta is pronounced like an 's.
  このやりとりが勉強になったのは、 "Hazla sencilla, para que dure toda tu vida." I think this means "Make it (la canción) simple so that it lasts your whole life," right? という、実は英語("Make it simple to last your whole life long")でも自信がなかった(情けない笑)ところもはっきりさせてくれているところです。やっぱりね。("Cantuna" という発音のまずさとされているものについては、そういうふうには聞こえないから、問題なし)。
  だから、これはこどもの番組のためにつくられた歌かもしれないけれど、深いですよね。 前の記事で訳詞は、「声を合わせ」とか「悲しいこと忘れるため」とか「幸せが来るように」とか「恥ずかしがらず」とか、とても日本的というか日本人的心情的にアレン ジしてますね。いや、いいと思います。でもたぶん元の歌は、よかれあしかれ個人主義的なというか、「個」の人生=歌、というような歌だったのだろうとは思いますけど。と書きましたが、自信をつけたのでもうちょっと書くと、簡単な歌詞(Joe Raposo って、走れ走れ、とかくりかえす歌詞が多い)のなかによく考えるとよくわからない歌詞が入り込んでいて、それは大人の人生観だったりする。
  なんで歌が人生にまでのびひろがるのかっつうと、ボサノバの"Summer Samba"で、一緒に "samba through life" する人が見つかったら "so nice" (「Ocotober 22 ソー・ナイス! So Nice!」参照)というのと同じで、今歌ったり踊ったりしている、瞬間瞬間、刹那がびろ~んとのびひろがって時間を、というか永遠と重ね合わさった時間を、そしてそのなかでのはかない人生の時間を、歌が捉える、そういう意識の運動を詩人が誘うからだ。我ながら日本語がひどいと思うが、そのまま書きとめておきます。
 
   ところで、カレンは"Hazla sencilla para que dure toda tu vida." のあとは "Don't worry that it's not good enough / For anyone else to hear. / Canta una canción." というような感じで、以下の歌詞はスペイン語にしないので、ヒアリングの訓練はここで終わりです。
  
   それにしても"Hazla sencilla para que dure toda tu vida" で自信があるものの、グーグルだと4件しかヒットしないってどゆうこと?

--------------------------------------

「日英カバー特集 【日本語カバーCD】 <http://ymnnmy.nobody.jp/cover_cd.html> 〔なんかさんざんにけなしている(微笑)〕

"Carpenters - From The Top (Box Set)" <http://www.vex.net/~paulmac/carpenter/albums/from_the_top_lp.html> 〔Carpenters FAZ のページ内。A&M 75021 6875 1991 Disk 2-10 Canta / Sing 3:20。 2002年の全集では1973年の録音に戻っているみたい―"The Essential Collection: 1965-1997" - Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/The_Essential_Collection:_1965-1997> 〕

Google "Hazla sencilla para que dure toda tu vida":

  1. LeadSister.com Forums > Lyric Help

    Hazla sencilla para que dure toda tu vida Don't worry that it's not good enough for anyone else to hear Just sing, canta una canción (then the Sing sing a song in English) Canta, canta una canción Hazla sencilla para que dure toda tu ...
    www.leadsister.com/forums/lofiversion/index.php/t6231.html - 7k -
  2. Can't Smile Without You - LeadSister.com Forums

    Hazla sencilla para que dure toda tu vida Don't worry that it's not good enough for anyone else you hear Just sing Canta una canción.....etc So I wonder if there's a version where Karen sings just in spanish, or if this is the only ...
    www.leadsister.com/forums/index.php?showtopic=875&pid=16280&mode=threaded&show=&st=& - 85k - 
  3. Can you help me with these lyrics? - Yahoo!7 Answers

    She sings "Hazla sencilla, para que dure toda tu vida." I think this means "Make it (la canción) simple so that it lasts your whole life," right? We just learned subjunctive with other phrases, and para que was one of them. ...
    answers.yahoo.com.au/question/index?qid=20080512011536AA5oX4U - 35k - 
  4. A&M Corner :: View topic - Canta (Sing) Lyrics

    Canta, alegre no triste Canta, canta una canción Hazla sencilla para que dure toda tu vida Don't worry that it's not good enough for anyone else to hear Believe me, the people who had done this traslation had ruined it! ...
    www.tijuanabrass.com/forum/viewtopic.php?p=36701&sid=faa8df92b2354012aedbcb92bcacd9ac - 54k - 

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October 30 空にピッカリ金の☆ってな~んだ [歌・詩]

October 30, 2008 (Thursday)

    いまカリフォルニア時間は30日の午後4時になるところです。今日は朝から肌寒く、かつめずらしく雨が降っています。どんどん夜明けが遅く、日が暮れるのが早くなっている感じがこの2週間ぐらいしていたのですけれど、今日は天気が悪いせいもあってずっと薄暗く、これからさみしい秋です、ときおり手紙を書きます、というような気分になります(電気をつければよいのでしょうが、昼間につける気にはならず)。

  日本との時差がいわゆるサマータイム(「太平洋夏時間」*時だと16時間あり、こちらの朝の8時が日本の真夜中で、朝早く起きてソネットのポイント獲得に取り組むという生活になっています。以上、長い前置きでした。

  ようやく、おかげさまで、ピッカリくんを獲得することができました。またの名、ひらめき王子というなぞの少年、いやなぞなぞが趣味の、ひらめき王国の天才王子(9歳)です。




  ちょっとソネットブログの皆さんのまねっこして貼ってみようと思います。

  ふと思い出した七夕の歌――空にピッカリ金の星、今日は今日はウレシイ七夕だ♪


   検索しても1件しかヒットしないのはな~ぜだ?  ローカルな歌だったのかしら。

  * サマータイムは現在のアメリカの呼び名ではデイライトセービングタイム(Daylight Saving Time: DST)すけれど、ST はsummer time の略にもなりえ standard timeの略でもあり、という例の略号の曖昧さのもやがたちこめることになります。そしてサマータイム中の時間は地域区分に"Daylight Time (=DT)" がくっつくかたちであらわされ、太平洋岸(西海岸)は  Pacific Daylight Time (PDT)、山岳部はMDT、中部はCDT、東海岸はEDT という感じです。今週末の日曜の午前2時でDSTも終わりになります。夏も終わりかなあ。

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 参考 「アメリカの時差とサマータイム」 <http://www.tt.em-net.ne.jp/~taihaku/geography/database/timezone.html> 〔アメリカ大陸地理情報館のページ〕 


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November 6 ペニーズ・フロム・へヴン Pennies from Heaven [歌・詩]

November 06, 2008 (Thursday)

    昨日ラッキー・ペニーという記事を書いたのは、オバマ大統領誕生ということで実は書いたのだけれど(誰にわかるんだろう 笑)、ペニーで思い出したことで書き忘れたことを思い出しました。

  モーリちゃんの父はミュージカルを観にいったことは、ほとんどなく、たまたまロンドンで誘われていったらミュージカルだったとか、そんなもんですけど、むかしむかしまだ20代の若いころに、銀座の博品館劇場に水森亜土のミュージカルを観にいったことがあります。いや、それもわけがわからんうちに福島のひとびとに誘われるようにして行くことになったのですが。水森亜土は、若い人は彼女のお絵かきパフォーマンスを知らないかもしれないけれど、ひみつのアッコちゃんの「すきすきソング」の歌手といえばわかるかもしれない(そっちもじゅうぶん古いってw)。

    あ、ここにイラストと写真が載ってます―― --Phoenix / 水森亜土 / Ado Mizumori <http://www.character.co.jp/ado/index.html> 〔フェニックス・コーポレーション内〕

    それで、あ、あ、あどちゃんが主演女優の未来劇場(劇団未来劇場 亜土工房HP――あー、今年が創立50周年なんですね)のミュージカル風コメディーを観にいったときに、水森亜土が「ペニーズ、フロム、へヴン、ペニーズ、フロム、へヴン、ペニーズ、フロム、へヴン、空からペニーズが降ってくる」とかなんとか唱えて下ニタ風こんにゃく、いや下ネタ風笑いをとってからジャズ風に「ペニーズ・フロム・へヴン」を歌ったのを鮮明に覚えています(うそです、うろ覚えです)。 (水森亜土は1976年に「南の島のハメハメハ大王」 (カメハメハじゃなくてハメハメハなところが水森亜土らしいw)をNHKのみんなのうたで歌っていますが、桜蔭出身でハワイ留学もしていて、英語がわかる人ですから、penis がピーナスというような、むしろピーナツに似た発音だということは知ったうえでの日本語のシャレです。)

  "pennies from heaven" というフレーズが、思いがけないラッキー、思わぬ幸運、予期せぬもうけもの、タナからボタモチ、いま調べたら"unexpected benefits" (AskOxford: penny 〔Compact Oxford English Dictionary〕というような意味だということは知っておったが、さて、どんな歌だったのだろう、と気になった。・・・・長い、あまりにも長い前振りだ(爆)

   この曲はビング・クロスビー主演の1936年の映画 Pennies from Heaven 〔邦題『黄金の雨』→あらすじ等情報Variety Japan | FILM SEARCH - 黄金の雨〕の主題歌で、Johnny Burke 作詞、Arthur Johnston 作曲。Johnny Burke という人は最初Harold Spina と組み、のちにはJimmy van Heusen と組んで、"Imagination" (1940) みたいなしゃれた曲をつくるのですけど、1936年にSpinaと別れてすぐにArthur Johnston と短期間だけ組んだチームでつくった曲なのですね。ずっとパラマウント映画の仕事をして、とくにビング・クロスビーの映画の仕事をしています(25本)。

  それで、その映像を探して、あったのですけれど、ちょっと画像が粗かったです("Bing Crosby - Pennies From Heaven" - YouTube)。ちょっと音も最初乱れていて聞き取れず。(でも途中で雷がなって、みたいなのは歌詞と映画のシーンがフュージョンしてておもろいです)。

    ビリー・ホリデーを聞いてみたら、ぜんぜん歌詞が耳に入ってきませんでした(なぜだろう)("Pennies From Heaven - Billie Holiday" - YouTube)。あとverseがないし。

    そうしたら、今年のハロウィーンのときにニューヨークのブルックリンのGarfield Placeというところでの恒例のパペット・ショーでクロスビーの歌を使っている映像にであいました。今年の怖いテーマが「お金」だったのだそうです。タナからボタモチというのかどうか知りませんが――

" "Pennies from Heaven" with improved sound quality " (5:16) posted by "fredhatt" on November 2, 2008

[verse]
A long time ago,
A million years BC,
The best things in life
Were absolutely free.
But no one appreciated
A sky that was always blue,
And no one congratulated
A moon that was always new.
So it was planned that they would vanish now and then
And you must pay before you get them back again.
That's what storms were made for
And you shouldn't be afraid for

[refrain]
Every time it rains, it rains
Pennies from heaven.
Don't you know each cloud contains
Pennies from heaven.
You'll find your fortune falling all over town.
Be sure that your umbrella is upside down.
Trade them for a package of
Sunshine and flowers.
If you want the things you love,
You must have showers.
So when you hear it thunder, don't run under a tree.
There'll be pennies from heaven for you and me.

ペニーズ・フロム・へヴン (空からペニーズが)

ずっとむかし、
紀元前100万年前、
生きる上で大事なものは
完全にタダだった。
けれども誰も、いつも青い空を
ありがたがらなかったし、
いつも新しい月を
誰も祝わなかった。
それで青空や新月はときどき消えて、
取り戻すにはそれなりの代償を支払うようにされたんだ。
嵐がつくられたのはそのためだった
怖がることはないんだ、なぜって

雨が降るとき、雨は
天からのお恵みなんだ。
どの雲もペニーズ・フロム・へヴンを
はらんでいるんだ。
幸運が町じゅうに落ちてくるのが見えるよ。
雨傘をさかさまにするのを忘れちゃダメだよ。
日の光と花を一緒に束にしたのと交換してもらおう。
愛するものを欲しかったら
雨に降られなければならないんだ。
だから、雷が聞こえたからって、木の下に逃げこんじゃダメだ。
キミとボクのために天からペニーが降ってくるんだから。

   あいかわらず改行に悩んでいます(不勉強で笑)。いや、完全に韻を踏んでくれればいいのですが、そうでないところがあり。ついでに書きますけれど、verse のなかにある "planned" とか "made" とかは受動態で主語が示されていませんけれど、それは神様であり、それはつまりheaven とつながっているわけでしょう(神様がこういうふうにした、と言わないからかえって小文字のheaven がひそやかに活きる)。

   もうひとつ。"Gifts from the sky" というタイトルのフォーラムで、同様の表現の提示が求められてしりすぼみになったページがあるのですが、"Pennies from Heaven" の歌詞を挙げた人に対して、 ちょっとイヤミに反論してきて、別の曲をあげたうえで、次のように書きこんでいる人がいます。

Continuing the threadjack, I will point out that the line "a long time ago, a million years B.C., the best things in life were absolutely free" in the verse to Pennies from Heaven is an allusion to this 1927 song by the same DeSylva with his usual partners 〔こう言っているのはこの人が別の曲としてあげたのがAl Jolsonとの共作とされている曲なのですけれど、アル・ジョルソンは自分が歌う曲を自分でつくったとcreditするのが好きな人だから、とか書いてあり、そのアル・ジョルソンとではなくていつものパートナーの、という含みですが、これもイヤミです〕 Herb Brown and Ray Henderson:

The moon belongs to everyone,
The best things in life are free.
The stars belong to everyone,
They gleam there for you and me.
The flowers in spring, the birdies that sing,
The moonbeams that shine, they're yours, they're mine.
And love can come to everyone,
The best things in life are free.

The prosperous 1920s must indeed have seemed a million years in the past by 1936.

  つまり、1927年の歌に "the best things in life are free" という歌詞があるから、1936年の歌詞は盗用だ、という主旨です( "an allusion" と頭では言っているけれども、最後のイヤミな一文は明らかな非難が見えます)。けれども、この言い方 "The best things in life are free" 「この世で最高のものはタダ」はほとんどコトワザ的な言い回しですね。 ジョニー・バークはこの表現も意味をずらして「引用」していると思うのですが・・・・・・しかし、"for you and me" もあるから、逆に、10年前の曲だからこそむしろ人にわかることを期待した上でのひねった遊びというところですかね。生半可な知識と嫌味には気をつけようと思いました、自戒とともに。


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November 7 スターダスト Stardust [歌・詩]

November 07, 2008 (Friday)

   怒涛のペニーズ三連発を考えていたのですが、朝ふとアイラ・ガーシュウィンを調べていたら、以前見たことのあるページに再びたどりついて、不意に「スターダスト」を訳したい欲望に駆られました(自分の仕事をせいっちゅうの)。

  「スターダスト」と聞いて、小泉今日子ではなくてザ・ピーナッツを思い出す人はモーリちゃんの父と近いor上の世代と思います(なんのはなしか・・・お父っつぁん、おかゆができたわよYouTube)が、このきれいなメロディーは、Hoagy Carmichael (1899 - 1981)という、若い頃の交友関係――Bix BeiderbeckeとかLouis Armstrongとか――からいってもジャズの人ですけれど、でも歌声はちょっと土臭い、そういう意味でカントリーに通じるところのある、おじさんの作曲で、・・・・・・おやおや、日本のウィキペディアは「スターダスト」も「ホーギー・カーマイケル」もなしですか・・・・・・この人です――

Lauren_Bacall_with_Hoagy_Carmichael_in_To_Have_and_Have_Not.jpg

  1944年の映画To Have and Have Not (アーネスト・ヘミングウェイ原作)から、えーと、右がローレン・バコールで、まんなかが、ってわかりにくいですね。The Official Hoagy Carmichael Web Site の"short biography"の画像を借ります――

early_headshot_sm.jpg

via The Official Hoagy Carmichael Web Site <http://www.hoagy.com/index.htm>

   英語版のWikipedia の "Hoagy Carmichael" も(別の)若い頃の写真を掲げています。が、モーリちゃんの父の70年代――思えば彼は存命だったのです――にはじめて聞いていた頃のイメージは、ハンフリー・ボガートと並ぶウマヅラのおっさん(失礼)という感じでした。

  と、また話があさっての方向へ行きそうなので戻します。そのホーギー・カーマイケルの初期の傑作が1927年作曲の "Star Dust"、2年後に詞を添えられて "Stardust" となった曲です。ホーギー自身のピアノの演奏(歌なし)はYouTubeにありました(1933年録音のようです)――

 

  " Hoagy Carmichael - Stardust " (3:28) posted by "kspm01" on July 9, 2007

  制作の経緯等は、典拠は不明ですけれども、つぎのページが参考になります。 <http://d0v0b.info/kyoku/s/stardust.html>  ここには、2種類の訳詞(と原詞)が並んでいます。それから、一番参考になり、刺激を受けたのは、あいらさんのOn Such A Night As This というブログの記事です。 ビング・クロスビーの1931年の歌をまず――


  " Stardust - Bing Crosby 1931 " (2:44) posted by "MickeyClark69" on December 9, 2007

あえてわざと適当に句読点を入れて、詞を書いてみます――

[verse]
And now the purple dusk of twilight time     1
Steals across the meadows of my heart.
High up in the sky the little stars climb,
Always reminding me that we're apart.
You wander down the lane and far away,    5
Leaving me a song that will not die.
Love is now the stardust of yesterday,
The music of the years gone by.

[chorus (refrain)]
Sometimes I wonder why I spend
The lonely nights,                       10
Dreaming of a song.
The melody haunts my reverie,               
And I am once again with you,
When our love was new, and each kiss an inspiration.
But that was long ago, and now my consolation           15
Is in the stardust of a song.
Beside the garden wall, when stars are bright,     
You are in my arms.
The nightingale tells his fairy tale
Of paradise where roses grew.                     20
Though I dream in vain, in my heart it [you] [it always][there always] will remain
My stardust melody,                                 
The memory of love's refrain.

  実は、最後から3行目(第21行)のit がyou になっている歌詞を見て訳したので、以下のようになったとさ。――

そして黄昏時の薄紫の闇が
ぼくの心の草原を静かによぎる
空高くのぼる小さな星たちは
ぼくらが離れていることをいつも思い出させる
君は道をはるか遠くへさまよいゆく
ぼくに歌を残して
歌は決して果てることはない
愛はいまは昨日の星屑、
過ぎた歳月の音楽となる

ときどきぼくは不思議に思う、
なぜ歌を夢に見ながら
孤独な夜を過ごすのだろうと。
メロディーはぼくの夢想に立ち現われ、
ぼくは君とまた一緒にいる。
ぼくたちの愛の始まりのころ、キスするたびに
インスピレーションを与えられたあの頃の君と。
けれども、それは遠い昔のこと、いまぼくの慰めは
星屑のような歌のなかにある。

庭を囲む壁のよこで、星々が輝くあいだ、
君はぼくの腕の中にいる。
夜鶯が、薔薇が咲いていたパラダイスの
おとぎばなしを語る。
むなしい夢。けれど、ぼくの心のなかで君は、
ぼくの星屑の思い出メロディー、
愛のリフレインの記憶として、いつづける。

 フランク・シナトラの歌としての歌詞のページ(のひとつ) <http://www.lyricsfreak.com/f/frank+sinatra/stardust_20055401.html> は "you" としています(この手のページが怪しいのは前から感じているところですけど)> シナトラの映像を探したのですが、1943年という古いもの(chorus [refrain]部だけ)とその後の、オーケストラをバックにverseだけで3分近くもたせているもの(w)しか見つかりませんでした。聞いたものでは "it always will remain" とフランク・シナトラは歌っているみたい。ナット・キング・コール Nat "King" Cole の昔の歌唱(ヴァース付き) (3:04)を聴くと "it will remain" と歌っていました。Willie Nelson ウィリー・ネルソンおじさん(2:09)は、ヴァースは歌っていないのですけれど(2:09)、"there always will remain" と歌っているのでした。仮主語っていうやつですね。となると it も仮主語というかextra position 外置構文という、この場合だと主語が長いので、仮に代名詞を入れておいて、あとから長い主語を補う、という文法的な説明が正解ではないでしょうか。"you" は気持ち的にわかるけど、誰もそう歌ってないなあ(笑)

 ということで、即修正。

むなしい夢。けれども、ぼくの星屑の、あ、思い出じゃなかった!!、メロディー、愛のリフレインの記憶は、ぼくの心の中にいつまでも残る。

 解釈を積み上げる気持ちはいまのところないです。が、ちょっとだけ(笑)。14行目のinspiration は詩人(あるいは音楽家)にとっての創作の霊感といちおう考えます。あと、庭の壁のあとにパラダイスが出てきますけれど、paradiseというのは語源的には「壁に囲まれた」というか「まわり+壁」みたいな意味だったはずで、要するに囲われた庭がパラダイスです。しかし「私」は庭の外にいるし、薔薇は過去にパラダイスに咲いていた(grew) のでした。最後の最後のrefrain というのは歌のタイトルがstardust だし、なにやら自己言及的なにおいがしますけれど(つまり歌っている歌がそのソングというような)、それほど臭くもないので許します。へたすると自己中ロマン主義芸術家の歌になっちゃいそうなのですけれど。

  ああ、疲れた。

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カリフォルニア時間午後3時10分追記 わが美空ひばりもverse から歌っておられました。そしてit will remain でした。 "Misora Hibari - Stardust" posted by "orion2758at"

3時30分追記 上のYouTubeに導かれて違うのを見ていたら、字幕で訳詞がでているのがありました("Stardust 『スターダスト』~ 美空ひばり 【Hibari Misora】" by "KaiserPCS")。――


薄紫色の黄昏が心に忍びよる
夜空にまたたく星にあなたを想う
唄だけを残して去って行ったあなた
恋は過ぎ去りし日々の星屑

あなたを想って眠れぬ幾多の夜
私を追想の世界へ誘うあのメロディ
夢のように過ごした甘い日々
今は星屑に想いを託すだけ
星輝く夜にあなたと歩いたあの庭
バラ香る楽園の唄をさえずる鳥
今も心にあざやかに残る
想い出のスターダスト・メロディ

男の歌を女が歌う、ということにいちおうなると思います。美空ひばりの歌う英語は元のままで、たとえば "You are in my arms" と歌っているのですけど、訳されてないです(他にもはしょっているところは多いのですけど)。

 


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